こちらはTwitterで気まぐれに書いた駄文です。

ジャンルは色々で、悠高、巧晶、ヒカあか、夏タキ、他NLがあります。

診断メーカーさまからお題を頂いたものが主です。たまに小説じゃない妄想設定なんかも乱雑にぶっこんであるので、目を通す場合は何の期待もせず駄文を覚悟でお願いします。




【巧晶】―――いつもいつも、あいつは笑っているから。「どうしたの、晶くん」ちょん、と巧海の指が晶の眉間のシワをつつく。「別に」「うそ。何か不満気だよ」「…お前には一生言いたくない不満だよ」「えー何それ」頬を膨らませた巧海が後ろから抱きついてくる。「ひっつくな!暑苦しい!」「やだ」飄々とした態度が気に入らなくて、晶は不貞腐れたまま巧海の方へ首をひねった。そのまま巧海に口づける。驚いた巧海が目を丸くして頬を赤らめた。普段は自分から攻める分、不意打ちは弱いと最近気づいた。「ばーか」俺ばっか好きで悔しいとか、言えるか。ばか。

【祐花】お互いの休日が重なった土曜日、食べ終えた昼ご飯の食器もそのままにダラダラとテレビを観ていると、不意に腕を掴まれた。何かと思うと、彼は小さく音を立てて腕に軽くキスを落とす。なに、と少し驚いて訊ねると「愛情表現です」と彼は珍しくイタズラな笑みを浮かべた。

【悠高】甘えて欲しいなぁ、と何気なく里奈がポツリと呟いた。口に出すつもりはなかったのか、あたふたと赤くなる。いつも甘えてばかりだから、と申し訳なさそうに目を伏せる彼女に、悠太は困って傾ぐ目の前の頭を撫でた。さて、甘えるにはどうすれば良いんだろう。

【銀妙】 「銀さん、その傷どうしたんですか?」腕にくっきりと浮かぶミミズ腫れを見た新八がそう尋ねた。昨夜のコトを思い出して、銀時はくつりと笑った。「昨日、凶暴な猫にひっかかれた」

【銀妙】ピンク色の紙パックの横で、呼吸に合わせて上下する銀色の髪。机にはだらしなく水溜りができていて、妙は「バカね」と思わずため息と一緒に声をこぼす。夕方の陽に反射する髪に、何となしに指を伸ばす。―――が、その指は毛先に触れることなく空気を掠めた。驚いて顔を上げると、机から起き上がった銀時が口元を拭う。「起きてたんですか」「ついさっきな」気まずさを覚えて顔を逸らすと、ツンっと髪を引っ張られた。「で、続きは?」意地悪い笑みから熱くなる頬を誤魔化すように、また指を伸ばして銀色の髪を思いっきり引っ張った。

【真江】帰り道、江が目をキラキラさせて花屋に足を止めた。「真琴先輩、このマーガレットすごく可愛いですよ!」「ほんとだ。綺麗な色だね」花を見つめる江を見て、ついそのマーガレットを一輪だけ買ってしまった。髪に花を飾り、「可愛いね」と微笑めば、真っ赤な顔で江が照れ笑った。

【悠高】昨夜、仕事の飲み会で酔いつぶれてしまった里奈は、怖い顔をした悠太からお説教を受けた。「お酒に強くないんだから、ちゃんとセーブすること。飲みたいときは俺に言って?迎えに行くから」「え、でも悪いよ。昨日も結局迷惑かけちゃったし…」と、悠太にギュッと鼻をつままれた。「昨日は俺に連絡が来たからいいけど、もし会社の人が送るって言い出してたらどうしたの?」「あ…それは申し訳ないよね」「じゃなくて、」怖い顔をした悠太の顔が迫る。「男はオオカミなんだよってこと」心配性だなぁ、と思いつつも、悠太が差し出した小指に自分の小指を絡め、指切りをした。

【悠高】昨夜、酔いつぶれた彼女を迎えに行った悠太は、ガードの甘い彼女に説教をしていた。「迎えてに来て貰って迷惑をかけてしまった」という点を反省している里奈だが、悠太としてはそれどうでも良い。とても、ものすごくどうでもいい。怒っているのは里奈の無防備さである。男がどれほど危険な生き物なのか、この子はまったくわかっていないのだ。困った顔をする里奈は「心配しなくても大丈夫だよ?」などと言う始末で、悠太は指切りだけじゃ足りないかな、と里奈を引き寄せて首筋に赤い印を一つ付けた。

【悠高】隣で本に夢中になる里奈の肩に、もたれかかるようにして頭を乗せる。くすぐったいよ。そう言って本に栞を挟んでくれる彼女に申し訳なさを感じつつも、嬉しさが勝っている自分に内心で苦笑した。引き寄せて唇を重ねる。照れ臭そうにはにかんだ彼女の笑顔に溶けてしまいたいと思った。


【悠高】ザー。昇降口の外では荒い雨粒が容赦無く地面を濡らしている。部活で残っていたら無情にも大雨だ。傘はない。「…悠太くん?」控えめな声に振り向くと、里奈が立っていた。「高橋さんも傘ないの?」「うん。友だちも帰っちゃって…お互い災難だね」苦笑する彼女に、そうだね、と返す。大して言葉も交わさない2人の間に声はなく、ただ雨の叩く音が響く。鼓動がやけに耳にうるさい。(―――どうかこのまま、)「…あ、雨。弱くなってきたよ」「…そうだね」今は、君の隣を歩く理由がないから。(だから、)「じゃあ、またね」「…うん、また」(時間なんて、止まればいいのに)


【悠高】わぁ。思わず声に出てしまうほどの景色に、子どものように心が弾んでしまう。視界いっぱいに広がる桜を見て「綺麗だね、悠太くん」と笑みがこぼれる。そうだね。笑みを返してくれることが嬉しくて、敷き詰められたように地面を埋める桜の上を軽い足取りで歩く。きっと、心に敷き詰められたのは幸せだ。


【ヒカあか】ふえぇ、と弱々しくも喧しい泣き声で目を覚ました。5歳児の就寝は早いというのに、隣で寝ていたはずのあかりは布団から起き上がっている。どうしたんだよ、とヒカルが声をかけると「こわい夢をみた」真っ赤に泣き腫らした眼であかりが言う。うるさいなぁ、と仕方なくため息を吐いてあかりの手を握る。「ほら、これでこわくないだろ。ちゃんと寝てないとお母さんにしかられるぞ」涙を浮かべた目を丸くして、ぱあっと明るい笑顔であかりが頷いた。もうこわくないよ、ありがとう。その言葉に違わず、数分後には2人の寝息が部屋に響いた。


【ヒカあか】幼なじみ。そんな脆いものにすがっていることに気がついたのはいつだっただろう。「ヒカル」名前を呼べば返事をくれる。けど、そんなことは誰にでもできることで。「…頑張れ、ヒカル」それでも、今だけはどうかこのまま、脆い繋がりにすがらせて。

【ヒカあか】ペンを紙に走らせる音が響く。こちらに見向きもせず宿題に没頭するあかりの背後に這い寄り、肩に顎を乗せる。「ちょっと、邪魔しないでよ」「何だよ、久しぶりに会ったのに冷てえな」「久しぶりなのはどこの誰のせいよ。…まったく、」振り向く気配がしたと思えば、ちゅ。と唇に柔らかい感触がした。「ちゃんとあとで甘やかしてあげるわよ。連勝おめでとう、ヒカル」だから待っててね、と笑顔で言われてしまえば黙って従うしかない。―――くそっ、言質とったからな!再び宿題に向かうあかりの背中を、ヒカルは待ち遠しくも恨みがましく見つめた。


【巧晶妄想】中3寮生活付き合ってる設定で、晶くんにどうしようもなく欲情しちゃって息子が元気になっちゃう巧海を偶然見ちゃってどうしていいかわからず部屋を飛び出して奈緒か静留あたりにつつかれる巧晶ください

嫌とか怖いとかじゃなくて衝撃と動揺でパニックになった晶くんが部屋を飛び出して、盛大にショックを受けて放心する巧海とか。

「はあ…なんであんな態度とっちまったんだろ。何か頭真っ白になって…」「ウブねぇ。童貞と処女じゃあ最初痛いかもねー」「なっ!?」「どーてーとしょじょって何だ?」「相変わらずの無知ね。いい命、童貞と処女って言うのは―――」「わーー!!教えなくていい!!」

「はあ…どうしよう晶くんに嫌われたら…」「そんな簡単に終わるようには見えないけどなぁ、お前ら」「祐一先輩はお姉ちゃんとどうなんですか、その辺」「俺らはまあ…ってそんなこと聞くな!!」「はあ。仕方ないじゃないですか。男の本能ですよ、どうしようもないじゃないですか」「それについては全面的に同意する。野郎なんてみんなエロ本AV観てんだよ」「僕は晶くんにしか興味ないですよ」「あそう…」「晶くん無防備過ぎなんですよ、お風呂上がりとか惜しげも無く肌さらして、良い香り充満させて。可愛い彼女前にして勃たない男なんていないよ」「お前結構言うよな…」


【悠高】 悠太くん、と隣で寝ていた彼女がかすれた声で名前を呼んだ。「おはよ。身体だいじょうぶ?」「…あ、うん。だいじょぶ、です」寝ぼけた眼がぱっちりと開いて真っ赤な顔を布団に埋める。衝動のままに彼女を抱きしめる。華奢で柔らかい、肌が温かくて気持ちいい。
綺麗な黒髪に鼻を寄せると、くすぐったいよ、と彼女がクスクスと笑う。「悠太くん、甘えんぼ」「…そう?初めて言われた」「いつもはしっかりしてるけど…朝は少しだけ、甘えんぼ」「そう、だね」この香りに心地良さを覚えたのはいつからだろう。「…こうなるの、里奈にだけだから」

【悠高】ん、と甘い呻きが耳朶を打つ。吸い付いた彼女の首元には、赤い痕が一つ。ゆうた、くん。熱に浮かされ、戸惑いを含んだ声に名前を呼ばれる。何?、と彼女の耳に触れるように唇を落とす。羞恥に潤む瞳がこちらを不安そうに見るが、もう抑えられそうになかった。感情の域をこえた衝動が、彼女を求めた。


【ヒカあか】家に着くと、ここぞとばかりに眠気が襲ってきた。大事な手合いに擦り減らした神経は、思った以上に身体や精神に負荷がかかっていたようだ。あかりはもう寝てるだろうと静かにドアを閉め、靴を脱いでスーツを脱ぎ捨てる。もう風呂に入るのも億劫だ。軽くカップ麺でも胃に入れようかと台所へ向かう、と。「あかり?」すうすうと寝息を立てて、テーブルに突っ伏して眠っているのはあかりだ。その横にはおかずが並んでいる。どうやら帰りを待っている途中で睡魔に負けたらしい。無防備な寝顔に頬が緩む。ありがとう、と自然と言葉が口を滑る。
随分と深く眠り込んでいるようで、抱きかかえてもうにゃうにゃと寝言にもならない声を出すだけだ。寝室へ運んで寝かせると、目がうっすらと開いた。起きたかと思ったが、まだ夢現らしい。ふにゃ、と寝ぼけた顔であかりが笑う。「おかえり、ヒカル」呂律の回らない舌でそれだけ言って、また眠りに落ちる。…あー、くそ。なんでコイツこんなにカワイイの。疲れていたことを一瞬忘れさせる威力である。まったくどこまでも出来の良い奥さんに内心で降参、と手を上げた。あかりの額に唇をそっと落として、おやすみと布団をかけた。


【悠高】顔を寄せると、だめ!と、小さな手に口を塞がれた。「あの、高橋さん。手が」「だっ、だって悠太くん酔ってるもん…早く寝た方がいいよ」「酔ってないから、大丈夫。手、どけて?」「だめ!流されないからね、絶対っ」「…わかった。寝る」 ほっとして彼女が手を離した一瞬の隙に彼女を押し倒す。もちろん頭を打たないように注意を払いながら。「ゆっ悠太くん!」叱るような顔は真っ赤で、悠太は優しく微笑んで頬に額に唇を落とす。「…嘘つき」と潤んだ目で訴える彼女に「すみません」と謝って、唇を塞いだ。

【悠高、ケンカ設定】「高橋さーん」「……」「あの〜…、ごめんなさい」「…悠太くんの、ばか」「ほんと、すみませんでした。シュークリーム買ってきたから、お茶しよ?」「……」俯いたまま、ゆっくりと隅っこでうずくまっていた体を解いた彼女に和解の兆しを見て、ホッと息をつく。「高橋さん、おいで。仲直りしよ」 まだ不貞腐れているのか、折れどころが見つからないのか、じっと固まったままの彼女に苦笑して、悠太はそっと両腕を伸ばした。「捕まえた」ごめんね、いじけました。そう言って背中に腕が回った。(来ないなら、こっちから)

【悠高】たまに、同じ夢を見る。電車に揺られている夢。隣には黒髪の女の子が1人、気持ち良さそうに眠っていて、俺は手を伸ばしかける。触れる直前で、目は覚めるのだ。瞼を開ければ、見慣れた天井。夢の名残を抱いて、そっと目を閉じた。(君の名は)


【ヒカあか】 サラサラ、と安物の砂時計が流れる。中指の痛む右手を揉みながら首を横にやると、時計の短針は夜中の2時を回っていた。もう、高校入試まで時間がない。不安、焦燥、苛立ち。―――でも、ヒカルだって頑張ってるんだから。砂が落ち切った五分きっかりの砂時計を、再びひっくり返した。

【ヒカあか】朝、目が覚めると隣で寝ていたはずの姿がなかった。「あかりー」起きて家を探しても、どこにもいない。(あ、ヤバい)重なる、既視感、あの時を思い出す。ガチャ、と不意に玄関の扉が開いた。「あ、ヒカル起きたの。朝ごはん作ろうと思ったら材料何もなくて、近くのスーパーに…っ」ガサッとあかりが持っていたレジ袋が音を立てて落ちた。ぎゅうっと力強くあかりを抱きしめる。「えっ、ヒカル?」怖い夢でも見た?と子どもあやすようにあかりの手が背中をさする。卵入ってたんだけどなー、と呟くあかりには申し訳ないが、そんな余裕はなかった。(だって、こんなにも君は)


【悠高】母から映画の割引き券を二枚もらった。最近公開された実写映画の券で、確か祐希がこれの漫画を読んでいたはずだ。「ゆーき、コレ一緒に行く?」ベッドで漫画を読んでいた祐希が気だるそうにこちらを振り向いて、もう観たよ、と一言。「え、でも二回観たりするじゃん。面白くなかったの?」「面白かったよ。でも悠太とは行かない」「え」「誘ってみれば。その映画、原作は小説で俺が読んでたのはコミック化したやつだよ」「え、と?」「この間本屋で買ってるの見たから。彼女も好きなんじゃない」それは、悠太も知っていることであり、頭の隅っこで思い出していたことだった。


【夏タキ】気づくと、夏目はどこか違うところを見ている。みんなと笑っていても、いつの間にか遠くを見ている。その目はどこか淋しげで―――つい、多軌は夏目の頭へ手を伸ばしていた。「え、タキ?」驚いて目を見開いた夏目に、はっとして手をどける。ごめんなさい!と咄嗟に謝罪が出た。「あの、つい。…夏目くん、たまに遠くを見てるから…その、ごめんなさい。変なこと言って」「…いや。心配してくれたんだろう?ありがとう、タキ」そう言って優しく微笑む夏目が、やっぱりまだ淋しげで、多軌は何もできない歯痒さから返す笑みはぎこちなくなった。(あやす、なんておこがましい)


【巧晶】部活が終わり寮に着くと、共同の調理室から良い香りがする。いつものことだ、アイツが具合の悪くないときは決まって。「おかえり、晶くん。今日はぶりの照り焼きだよ」「あのさー、別に俺の分まで作らなくても」「1人分作るのって難しいんだもん。処理手伝って」困ったようにへらっと笑う巧海に重たい溜息を吐く。これが不愉快の溜息ならば良い、そうでないから晶にとっては大きな問題なのだ。毎日、毎日。一緒にいればいるほど、巧海の存在が生活の一部として染み込んでくる。優しく心地の良い温かさ。今の晶にとっては邪魔な足枷でしかないそれが、巧海1人いるだけで簡単に晶を縛る。要らない、欲する感情など燃やして灰にして、海に捨ててしまいたい。「お待たせ、晶くん。食べよう」呑気に食事を準備を終えた巧海が笑む。晶は緩む気を押し殺して、素っ気なく夕飯の席に着いた。(誰かと、なんて要らないのに。)

【悠高】ちゅ、ちゅ、と触れるだけのキスをあちこちに落とす。頬に、鼻に、髪に、耳に、首に。じゃれるような悠太の口づけに里奈は沸点が超えたのではないかと思うほど真っ赤になっている。と、里奈が両手でストップをかけるように悠太の口を塞いだ。「…里奈さん、この手は」あう、と困ったように里奈が眉を下げる。「だっ、だって…くすぐったいし、恥ずかしい、し。悠太くんどうしたの?」「だって、会ったのひと月ぶりじゃないですか。…久しぶりに会えて浮かれてるんです」「っそ、それは私も、だけど」抑える手が緩んだのを見て、ペロリと手のひらを舐める。ひゃっと声を上げた里奈が腰を引くが、捕まえにかかった悠太の手の方が早かった。そのまま抱きかかえて顔を寄せる。「ゆっゆうたく」「たまには、わがまま言っていいんでしょ?」ぐっ、と声に詰まった里奈の口を塞いで、むさぼるようにキスをした。

【悠高、未来設定】 夜泣きの息子をようやく寝かしつけて布団に潜ると、「お疲れさま」と声がかかった。「ごめんね、起こしちゃった?」「大丈夫。むしろ起こしてくれて良いのに。1人で頑張りすぎちゃ駄目だよ」「でも悠太くんは仕事で疲れてるでしょ?ちゃんと休まなきゃ」「寝不足で倒れるほどまだ年とってないよ」そう言って笑う彼に「ありがとう」とお礼を言うと、招くように腕が開かれる。少し恥ずかしいが、甘えたい気持ちに背を押されて開けられたスペースに寝転んだ。ぎゅ、と優しく抱きしめられる。おやすみ、と額に唇が落とされ、心地の良い温もりに自然と眠りについた。


【要日】「要っ、広辞苑貸して!」「おまっ…ノックくらいしろよ!」「そんなのいいから早く貸して〜っ宿題で使うのに持って帰ってくるの忘れたの!お願い!」勝手に入ってきたと思えば用件も勝手だ。仕方なく指定の物を渡すと、改めて日紗子の姿が視界に入った。気候が夏に近づいたせいか、キャミソールに短パンとやたらに露出の多い格好である。意識した途端目のやり場に困り、不自然にならないように目をそらした。「ほらっ、用が済んだらさっさと帰れ。勉強の邪魔だから」「言われなくても帰るわよ。じゃあ借りてくから、ありがと」「…あと」「なに?」 部屋から出ようとしていた日紗子が肩越しに振り返る。無自覚な幼なじみに呆れてため息交じりに「服、薄着過ぎたから風邪ひくなよ」と指を差す。「今日暑いし大丈夫大丈夫、じゃあ明日にでも返しにくるからー」バタン、と閉まったドアに向かって、また一つため息をこぼした。


【巧晶】―――いつもいつも、あいつは笑っているから。「どうしたの、晶くん」ちょん、と巧海の指が晶の眉間のシワをつつく。「別に」「うそ。何か不満気だよ」「…お前には一生言いたくない不満だよ」「えー何それ」頬を膨らませた巧海が後ろから抱きついてくる。「ひっつくな!暑苦しい!」「やだ」飄々とした態度が気に入らなくて、晶は不貞腐れたまま巧海の方へ首をひねった。そのまま巧海に口づける。驚いた巧海が目を丸くして頬を赤らめた。普段は自分から攻める分、不意打ちは弱いと最近気づいた。「ばーか」俺ばっか好きで悔しいとか、言えるか。ばか。

【巧晶】晶くん、あれ。とマフラーでくぐもった声で巧海が一点の方へ指をさす。そこには小さく不恰好な雪だるまが二つ。「子どもが作ったんだろ。昨日は積もったからな」「今日は天気がいいからもう溶けちゃうね。僕も作りたかったなぁ」「風邪ひくだろ」心配性だなぁ、と巧海がヘラっと笑う。「また雪降らないかな」「降るだろ、たぶん」「晶くん、一緒に作ってくれる?」「……デッカいのはなしだぞ、あの雪だるまくらいなら付き合ってやる」「―――うん、ありがとう」自然と繋いだ手は少し冷えていたが、温かな日向には丁度よかった。


【祐花】花「ちょっと、テレビ見てないで炊飯器からお釜出してよ。炊けたから」祐「えー…、まだ終わってないんですけど」花「録画してないの?」祐「してますけど」花「ならいいじゃない」祐「……EDは我慢してあげます」花「はぁ、何でも良いから炊飯器よろしくね」同棲中の一コマ妄想。

【ヒカあか/夢】今でもたまに、佐為を夢に見る。あいつは恨み言一つ言わずに、ただ優しい笑顔で俺を見るだけで、何を訴えても応えてはくれない。別に、許しを請いたいわけじゃない。罵倒でも何だっていい、ただもう一度言葉を交わしたいだけなんだ。「…カル、ヒカル?」名前を呼ばれて瞼を開けると、困惑した瞳でこちらを覗くあかりの顔があった。「ヒカル、何か嫌な夢でも見てたの?」「え、何で…」「だって…」つい、とあかりがヒカルの目元を拭う。その指には涙がついていた。「泣いてる?俺」「うん」「そっか…」「辛い夢?」「いや…良い夢だった」でも、と続ける。「少し、悲しい夢だったかもな」もたれるようにあかりに身体を寄せると、優しく抱きしめられる。そっか、と何も聞かずあやすようにあかりの手のひら頭を撫でる。夢の名残りが、また涙になって頬を伝った。



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