舞い踊る光シリーズ

□舞い踊る光[1]
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今日も刺激もなく、麗しい美に出会えない一日が始まる。

私は今、無性に美に飢えている。
叔父であるインゴベルト陛下から賜っている軟禁の命が無ければ、世界を駆け回り美しい物を求め続けるでしょう。
全く持って不本意です。
この屋敷の中で得られる美には限界がある。
ペールの植える花々。
私を慕ってくれている、使用人達の一部。
そして、我が母君。
それ以外は、全く美しくない。
いえ、更に一部は醜悪と言っても過言ではないでしょう。

「はぁ、まるで今は世界に色が無い様に見えてしまう。
あぁ、何て嘆かわしいのでしょう」
私が一人嘆いていると控えめなノックがされ、意識を切り替えた。

「ルーク様。」
「何でしょう?」
「ファブレ公爵がお呼びです。食堂まで来られる様にと」
「解りました。準備を整えて直ぐに向かうとお伝え下さい」
「畏まりました」
メイドは扉越しで見えないと解っていても一礼をし去って行く。
あぁ、この慎ましやかな行為。
何て美しいのでしょう。
毎日の事で合っても、これは癒されます。
さて、父上に呼ばれたので向かうとしましょう。
ラムダスに何と言われ様と、艶やかに舞う様に!
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