浦原×コン

□花火
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見たことがない と
 愛しい人が言ったから





花火






「はなび ってなんだ?」


目の前にいるのは、ライオンの可愛いらしいぬいぐるみ。
の、中に入っている コンさん。


「コンさん、花火見たことないんですか?」


そう問えば、彼は素直に頷いた。


「一護が言ってたんだよ。今度の日曜日は“はなびたいかい”ってのがあるんだって」

「あぁ…たしかそんなことを、雨たちも言ってましたねぇ」


きっと 可愛い浴衣なんかを着て行くんだろうと 想像したら笑みがこぼれた。


「黒崎さんも行かれるんですか?」

「メガネが行くなら行くって」

「あぁ…なるほど」


そうか、あの2人も そうだった
なんだか初々しいな と思って
ふと、視線を感じたから、そちらに目をやると


「浦原は…いかねぇのか?」

「アタシは…そうですねぇ。人混みは少し苦手なので」


そう言うと、彼は少し悲しそうに「そうか…」と呟いた。


「コンさんは?行かれないんですか?」

「ん、浦原がいかねーなら行かない」


えと、それは…つまり


「アタシと一緒に…行きたかったってことですか?」

「……………」


彼は黙ったまま ぬいぐるみだけど、頬が微かに紅い気がして そして、小さく頷いた。


あぁ、なんて可愛い、愛しい人。

「じゃあ、コンさん。花火大会当日は2人でここから見ていましょうか」

「え!?ここからでもソレ見れんのか!?」

「えぇ、打ち上げ花火ですから」

「打ち上げ…!?」

「あ、でも手持ちもいいですね。コンさん打ち上げ見終わった後は手持ちもやりましょうか」

「て、手持ち!?……ますますわかんねぇ…はなび…」


前で腕を組んで、小さい体で首をひねる様は
それはそれは かわいらしい。


「とても、綺麗ですよ。花火」

「はなび…は、キレイなのか」

「えぇ、コンさんもきっと好きになりますよ」



そうか と、彼は笑った。







きっと、花火大会当日には
コンさんは 満面の笑みではしゃぐでしょうね。


そんな彼を想像して
次の日曜が 柄にもなく待ち遠しくなった。











END
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