一護×雨竜

□手
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辺りも暗くなりはじめた
2人だけの帰り道











『今日は部活が早く終わりそうだから』


そう、今日一日 全ての授業が終わって 教室内から生徒が帰って行くざわついた中、石田に言われた一言だった。


『…特売日、とか?』


つまり “部活が早く終わるから、今日はスーパーでの荷物持ちをしてもらうから待ってろ”とか、そういうことかと思って尋ねてみたら


『え、あっ、いや…違う。そうじゃなくて…』

『?』

『ま…待っているのか!?いないのか!?』

『え!?待ってます…』


そうオレが答えると、石田は教室のドアに向かって歩いていってしまった。
部活をしに行くんだ。じゃあ、オレは待っていないと。












なぜあんなことを言い出したのかとか、なんで急にキレたのかとか、 考え始めて小1時間がたった。

カラ…と控えめに教室のドアが開く音。
そちらに目をやれば、部活を終えたであろう石田の姿が。


「ごめん。待たせたね」

「そうでもねェよ。考え事してたから」

「…考え事?」

「あ、や…なんでもねぇ。ほら、もう帰んだろ?」


あぶね…。
うまくごまかせて…ない…よな。
石田が不審な目で見てくる…。

そんな視線に気づかないふりをして、オレたちは教室をあとにした。




「………」

「……………」

「………」

「……あの、石田?」

「!!…なんだい?」


学校を出てからずっと無言で
 それがいたたまれなくなったオレは石田に声をかけた。


「あ、いや、なんか…話したいことでもあるのか?」

「どうして?」

「珍しくねぇか?お前から一緒に帰ろうなn「一緒に帰ろうなんて言ってないよ!!」

「…え」


…違ったのか?あ、オレなんか…早とちりして…

「あ、ちが…っ」

「?」

「言っては…いない…けど、間違っては…ない…」

「…へ」

たしかに、石田は 一緒に帰ろう とは言ってない。
でも、間違ってはいない ってことは、つまり…?

「一緒に…帰りたかったのか?」


なんで…ずっと気づかなかった?
石田の顔…教室出るときから、いや、その前から ずっと真っ赤だったんじゃ…。
あの時キレたのだって、照れていたからなんじゃ……。


「…っ!!」

「そうだったのか」

「なん…っ僕は別になにも…!!」

「そっかそっか」

「黒崎!!聞いてるのか!!」

「聞いてる聞いてる。石田はホント可愛いな」


そう言ったら 顔はもっと真っ赤になって
 軽く腕を殴られた。

オレはその手をとって


「あたりも暗くなってきたし、あぶねぇから手 繋いで帰ろうな」

「…!! ……しょうがないな…」


あぁ、きっと 手を 繋ぎたかったんだろうな

 なんて言えば お前はまた真っ赤になって、ふざけるな と手を離してしまうだろう?
そんなもったいないこと誰がするか。




会話が止まる。
 あたりはまた静かになった。

さっきまでの空気と違う
繋がれた手の温度が 鼓動が
  とても心地よかった。










END
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