一護×雨竜

□視線の先には
1ページ/2ページ



必然的に視界には入っちまうだろうが。
何せあいつは、オレの斜め前の席なんだから。




視線の先には





「睨むのはやめてくれないか」


眠い午後の授業。あと1時間受ければ帰れるというその手前の休憩時間。
オレは 石田 に呼び出されたわけでー…。


「あ?別に睨んでなんかねーよ。」

「じゃあなんなんだ」

「なにが」

「前から思ってたけど、言いたいことがあるならハッキリ言えばいいだろう。あんなに君のその顔で見られたんじゃ、睨まれてると思っても当然だ」



悪かったな。この顔はもともとだ!!
…………というか


「……前から?」

「そう」

「どのくらい前から?」

「僕が君に勝負を挑んで次の日くらいかな。僕が遅刻した日」



それは…知らなかった。
無意識に見てたのか…?

いや、でも


「黒板、見てたら必然的に前の席のお前は目に入るだろ」

「目に入る程度なら気になんかならないよ。君の視線をすごい感じるんだよ」



あ…? そう、か。
そうだよな。あれ?じゃあ


「なんでオレお前のこと見てんだ?」

「それを僕が聞いているんだけど……」



そうだ。石田に聞いてどうする。


「多分…だけど」

「あ?」

「君、僕のこと嫌いなんだろう?あんなこともあったし。だから気になって見てるんじゃないかな」


(気に……なって…?)

オレの耳は心底都合が良いのか悪いのか。
石田が言った初めの言葉はスルーしていた。



「あぁ……そう、かも」

「………そうか。」

「でもそれってどういう意味だ?」

「だから、君は僕のことがー…」


石田はそこで口ごもる。
なんだよ。言わねぇのか?


目がふせられている。
コイツ 男のくせに睫毛なげぇな……とか。身長、あんまりオレと変わらないのに 腕とか 細いし 白い。


今、すげー石田のこと見てるのに
気づいてないのか?


授業中とか どうでもいい時ばっかり気づきやがって。


今 気づけよ。

見ろよ。オレ の ことー……



「………あ」

「どうした…?」

「気になってたんだ…お前のこと」

「………だからー…」






「好き なんだ」




不思議と自然に口にした言葉

違和感なんか全然なくて



「石田のこと 好きだから見てたんだ」


石田は黙ったままだ。
そりゃそうか。いきなり同性に告白なんかされたら。


 それでも



「オレのこと、見てほしいんだよ」


後悔なんてない。
むしろ誇らしく思う。言ったオレかっこよくね?



なん て
  本音は すげー

 びびってるくせに。


「……見てるよ」


不意に聞こえた言葉。


「僕は、ずっと見てたよ。君の こと。」

「…………」

今度はオレが黙り込む。
だって、え?

それは


「やっと 見てくれた」


どういうー…こと だ?





オレの視線の先には
 頬を紅らめた石田の顔。


石田の 視線の 先 は?




END
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ