身近な言葉から

□やきもち
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やきもち/源佐久



今日は鬼道の家に勉強を教えてもらいに行く。もちろん俺だけではない

佐久間、不動、鬼道に俺と言うまぁなんともいえない組み合わせのメンバーだ。その前に不動のやつは勉強をする気はないだろう。


先程、妙に膨らんだ不動のバッグの中身を不動がトイレに行っている間に少し覗きこんだ

お菓子と漫画を大量に詰め込み、あきらかに鬼道の家のソファーで寛ぐだろう。だんだんと浮かびたくもない不動の生意気な姿が頭に浮かび少し口元が緩んだ。

そんな俺の姿を見て不思議に思ったのか、「どうした?」と佐久間がこちらを横から覗きこんできた、相変わらず女っぽい顔つきである。

「いや、なんでもない」

「なんだよー」

「そんなに気になるのか?」

「源田の考えてる事は俺も考えてたい」


なんとまぁ可愛らしい発言である、少し拗ねたような顔をこちらに向ける。破壊力は抜群、これを他の男が見たら全身から血を垂れ流すであろう、それほどの破壊力はある

佐久間はそこらの女の何倍も可愛い。むしろそこらの女の良い理由がわからない
たしかに佐久間には柔らかい胸も特別穴があいてる訳ではないが、そんなの気にならない。佐久間は佐久間だからこそ可愛いんだ


まぁつい先日佐久間の机の中に水色のシンプルな封筒のラブレターがはいっていた。男からだったが今後そいつを見つけたらとりあえず殺そうと思う。



そんな事を考えながらも今は四人でテーブルを囲み、教科書を開きながらみんなで勉強してるわけだが…


「…」

「…」


さっきから佐久間が視線を合わせてくれない。俺はなにもした覚えはないのだが佐久間が俺を無視してる


「さ、佐久間?」

「…」

「お菓子、いらないか?」

「…今勉強してんだけど」

佐久間の言葉が胸に突き刺さる。なぜそこまで俺に冷たいのだろう、先程までは普通に話していたのに…


「俺なんかしたか?」

「…」

「なぁさく」

「話すのもいいが今は集中しろ、源田問3出来たか?」
「え?あ、ああ」

「見せてみろ」


ずいっと鬼道が身を乗り出す。顔は動けば触れあうほど近く間違えばキスをするんじゃないかという距離だ、だがそんな事はお構い無しに鬼道はどんどん問題の説明をしていく。


「あ、鬼道。これは…」

「ん?」


また少し鬼道との距離が近づく。もう額と額がくっついている、隣から甘い香りがする。鬼道のシャンプーの匂いだろう…そんな呑気な事を考えていたら前から消しゴムが凄い速さで投げられた

消しゴムは俺の頬のすぐ近くを通過し、壁にバンッとあたるとぽとりと床に落ちる

「悪い、手が滑った」


佐久間が綺麗にニコリと笑う。どことなく黒い気がする…そして手が滑っただけであんな距離飛ぶわけがなかろう!と心の中でツッコンだ


すると不動が佐久間の耳元に唇を寄せて何か呟いている。そして佐久間が呟く、なにを話しているのだろう…

その前に不動と佐久間の距離が近い。もはや不動は佐久間の耳元に触れている、たわけが…俺の佐久間に触りやがって


身体の端からムクムクと嫉妬心がわいてくる。なぜそこまで密着する必要がある?俺に言えない事か?そんなネガティブな事が浮かべば浮かぶほど嫉妬心が余計強くなる


『お前、鬼道に妬いてるだろ?』

『や、妬いてないもんっ』
『丸分かりだって、源田は気づいてないけどな』

『黙れ』

『お前生意気だぞ』


そんなやりとりが聞こえてない源田は佐久間が浮気をしていると思いこんだ

だんだん源田の顔が険しくなっていくのを見て不動はこちらを見てにやついた


「…ひゃっ!!」

刹那、佐久間から少し高めのいやらしい声が聞こえる。何事かと視線を下にずらすと不動が佐久間の脇を指でつついていた。

ブチンッと頭の血管が切れる音が頭の中に響いた。それを見かねた鬼道がおずおずとしながらも不動を連れて…いや正確には無理やり連れて「お茶をいれてくる」と一言だけ言って部屋を出た。



二人だけの空間は今までにないくらい気まずく、息苦しかった。佐久間は下を向き俺と目を合わせようとしない

沈黙の間が続き、俺は我慢出来ずに重い口をひらいた


「佐久間、不動とくっつきすぎ」


「あんな声までだして」と言おうとするところで佐久間がゆっくり口をひらき、「源田だって」と小さく呟くとこちらをじっと見つめてきた。


「源田だって、鬼道さんと楽しそうにしてたじゃん」

なにを言ってるんだ佐久間は。別に俺は鬼道なんかと…

「…あ」

俺はつい口から声が漏れてしまった。先程鬼道に教えてもらっている時に肌が触れあっていたな。…ということは


「もしかして、やきもち?」


佐久間の頬が一気に赤くなった。やはり、と勘があたり頬がゆっくり緩んでいき、自分でも気持ち悪いほどにやけていた

まさか、あのドSで女王様なエースストライカーの佐久間がこんな事でやきもちを妬くとは、意外と独占欲が強いんだな

そんな事を考えながらも緩んだ口元を手で隠し、しばらく佐久間の羞恥に染まった顔を眺めていた


やきもち
(あまりにも佐久間が可愛すぎて)(我慢しきれず強く抱き締めた)

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