短編

たんじゅんなぼくら
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たんじゅんだって?


分からず屋よりマシさ!





たんじゅんなぼくら




「はぁぁあああ!?何開き直ってんの!?平助がいけないんじゃん!!」



「べ、別にそんなんで怒るなよな!小せぇ奴だな!!」



「カッチーン。はい怒った!!ぜっっったい許さないから!!」



唖然とするクラスメートの視線を浴びながら教室を出て行った。


――‐


「で、何で喧嘩したの?」


「………平助が…、あたしの唐揚げ食べたの!!」


「………………は?」


「は?」


「…はぁ!?ちょ、アンタ達、そんな事で喧嘩してんの!?」


「そんな事、ってなによ!あたしがあの唐揚げどれだけ楽しみにしてたと思ってんの!?」


「…はぁ。…心配した私が馬鹿だったわ。」



彼氏の平助と昼休みに喧嘩した。理由は今言った通りで、一緒にお弁当を食べていて平助が何も言わずにあたしの唐揚げを食べたのだ。


ったく。



「…で、謝る…、訳ないわよね。」


「当たり前じゃない!!」



絶対にあたしからは謝らない。地球がひっくり返ってもありえないね。



そのまま午後の授業をさぼって、もう帰路に付く時間。いつもは平助と帰ってるけど…。


待っててくれてるのかな、何て思って教室に向かった。



「…」


「…」


案の定彼は待っていてくれて。目が合った際、お互い拗ねたように逸らす。



「ちょ、お前!人がせっかく待ってやってたのに!!」


「…ふんッ」



平助をおいて教室を出ようとするあたしに、彼は怒ったように言った。



「……まだ怒ってんのかよ…」



いきなり声のボリュームが小さくなって、悲しさがこもった声で言われ、思わず教室を出ようとした足が止まった。



「……ごめんな…?」


後ろから抱きしめられ、耳元でそんな悲しそうな声で言われて、許さない奴がいたら見てみたい。あぁ。あたしってたんじゅん。



「……明日、…」


「…ん?」


「……明日ゼリーちょうだい。」


「ははッ!良いよ!!」



いつものトーンに戻った彼を見て、硬かった自分の表情も綻ぶのが分かった。



「帰るぞ!!」


「うんッ。」






たんじゅんなきみ
(あ、…)
(ん?どうしたの?)
(ごめん、…ゼリー食べちゃった。)
(…)







 

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