短編

誤魔化せるのもあとちょっと、
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「あはは。だよね」


何がだよね、だ。


「あー、やっぱり俺沙織と話しあうわ」


はい?俺の方が合うし。


「ね。あたしも思う」


思ってんな。



いや。してないよ?俺は断じてイライラなんてしてないし。ましてや嫉妬なんてものもしていない。





誤魔化せるのもあとちょっと、






お昼休み。ぼけーっとしていた俺の耳に、幼馴染の沙織の声と共に同じクラスメートの健の声が入ってきた。



その声はとても楽しそうで。


何故かだんだんイライラ…、いや。ちょ、今の取り消し。イライラなんてしてない。何で俺がイライラなんかしなきゃなんねぇんだ?


だよな?する必要なんてねぇよな?うん。してねぇ。



「ねぇ、平助」


「……なに?」


「…何でそんなイライラしてんの?」


「し、してねぇ!!!」



いつの間にか健との話しは終わっていたらしくて。


「な、何そんなムキになってんの」


「なってねぇ!」


「はいはい。」


呆れた顔をして受け流す沙織に対してちょっとカチンとした。



「で、何?何か用あんの?」


「あー、そうそう。健が今度の日曜日「ヤダ」…いや、まだ何にも言ってない」


何故かとっさに出てしまった「ヤダ」の一言。


いやいやいや。何に対してだよ。言った自分でもわかんねぇ。



「わ、わりぃ。…で、何?」


「だから、健が今度の日曜日遊園地行かないか?って、チケット貰ったんだって。」


「………俺パス」


「はぁ!?なんで!?」



いつもの俺なら即答で「行く!」と答えるだろう。だが今回は話は別だ。


こんな楽しそうに言う沙織を見ると、その…、あー。はい。認める。イライラしてくる。何でこんな楽しそうなの?健と行くから?


「パス」と言った俺が信じられなかったのか、彼女は目を見開いて食いついてくる。



「……用事あるから。」


「は?平助に「用事」なんてものあるの?」


「お前なぁ…!!失礼にも程があるぞ!俺だって用事くらいある!」


いや。ない。



「……なぁんだ…。平助行かないのか…。」


健からもらったであろう遊園地のチケットをじっと見る沙織。心なしかちょっと寂しそうな目をしている。



「…じゃ、あたしもいーかない」


「…え?」


行く気満々だった彼女から出た言葉は予想外の言葉で、思わず言葉が漏れた。



「…何で?楽しみだったんじゃねぇの?」


「んー?…だって、平助行かないんでしょ?」


「そうだけど。…別に俺がいなくたって……」


「平助いないとつまんないじゃん」



何食わぬ顔で言う彼女の言葉に、体の中から熱くなってくるのが自分でも分かった。


さっきまでのイライラが嘘のように、今は気分が良い。


どうか顔に出ていませんよーに!






一週間もないね
(あー。やっぱり幼馴染って良いよな)
(…幼馴染?)
(……それだけ?)









 

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