短編
□怒る≠嫌い
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「馬鹿野郎!!お前は何してんだよ!!」
「はぁ!?何で平助にそんなこと言われなきゃいけないの!?」
「てか、何でまず俺に言わねぇんだよ!!」
「そんな時間なかったの!!しょうがないでしょ!?人の命かかってんの!間違ったことはしてないわ!!」
「…!!そうかよ!勝手にしろ!!」
「言われなくても勝手にするわ!」
そう言い捨てて新選組屯所を出て行った。
怒る≠嫌い
彼氏の平助と喧嘩した。喧嘩した理由は、今から2時間前にさかのぼる。
午後10時
すっかり日も暮れ、京は暗闇に包まれた。
平助今何してるかな…とか考えて布団に入った。
新選組、八番組組長、藤堂平助。
あたしは彼と付き合っている。もうそろそろ1年になるかな。変な人に絡まれてるのを助けてもらって、あたしの一目ぼれだった。
それから、なんとか口実をつけて、彼に会いに行って、当たって砕けろ作戦で告白したら、まさかのOK。
あたしは、新選組屯所のすぐそばで一人暮らししている。
説明はこのくらいで…。
あー。寝む。
瞼がどんどん重くなってきたその時、
「キャー!!」
女の人の叫び声がした。
「な、なに…?」
さすがに怖かった。こんな夜中に。
だけど、その叫び声は一向に止まず、刀を腰に差して外へ出た。護身術は一応だが心得ている。最近は平助にも教えてもらってちょっとは形になっている。
叫び声がするほうへゆっくり、息をひそめて近づいた。
そこは人が全然通ることのない細い裏道。
「…ッ」
女の人が3人の男に襲われていた。
「ッやめて!!だ、誰かー!!」
「いい加減静かにしやがれ!」
ずっと抵抗している女の人に向かて男が刀を向ける。それにおびえ、女のひとは力が入らなくなったのか、ずるずると座り込む。
ど、どうしよう。平助を呼びに行くか?
駄目。間に合わない。呼びに行ってる間にこの女の人は殺されちゃうかもしれない。
あたしが、助けなきゃ…!!