夢
□金魚すくいと君との約束
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「それじゃあ、6時に神社前ね」
金曜日のお昼休み、一緒にお昼食べよう、と千鶴と平助に誘われたあたしと咲。
屋上じゃ暑いから校舎裏で食べよう、ってなって、そこへ向かえば心地よい風があたし達を迎えた。
で、食べ終わって千鶴が「明日のお祭りのことなんだけど…」と話を始め、お祭りの予定が決まった。
「うん。了解」
あの日から、あたしの体調は一向によくならない。
PART,5 金魚すくいと君との約束
お祭り当日―--
「…最悪。」
起きたのは昼の12時。
別に待ち合わせの時間には全然間に合うので全く問題はない。だけど、起きた瞬間から体の異常なダルさにまさか、と思う。
体温計を引き出しからだし、少し不安な気持ちで体温を測れば…、
「…38度3分。」
完璧な夏バテだ。
うわ。もう最悪だ。せっかくのお祭りなのに。
苛立ちとダルさと共にベットに倒れこめば、さっきまで寝てたのにまた眠くなって、重たくなってきた瞼に逆らうことなくそのまま目を閉じた。
次に目を覚ました時は夕方の5時だった。
約束まであと1時間。再び体温を測ればお昼に測った時と変わらず高い。
今日は遊ぶのはやめよう。ドタキャンは嫌だが、みんなも分かってくれるだろう。
全然力の入らない手で携帯に手を伸ばし、咲に「熱があるから今日いけない、ごめんね」という内容をメールで送った。
返信は2分も経たないうちに戻ってきて。「そっか…。お大事に(;_:)ゆっくり休んでね。」とのこと。
返信を返すのが面倒くさくて、携帯を閉じ、太鼓と笛の音を頭の中で流しながら空気を見つめてた。
―--
「沙織は?」
「あの子熱出たんだって。最近ずっと体調悪かったらしくて。で、今日は無理だって。」
待ち合わせの時間、6時になって、沙織と咲は一緒に来るのかな、と思ってたけど、来たのは咲一人だけで。
不思議に思って聞いてみれば、彼女は熱を出してしまったの事。
…沙織も、一緒に行きたかったのにな。
「残念ね、あの子お祭り大好きなのに。」
「ね、楽しみにしてたもんね。」