青色と赤色のカキ氷
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小さいとき、お父さんとお祭りに来た。



すれ違うほとんどの人が持つ氷の上にかかっている色とりどりのシロップに目を輝かせた。



「パパ!沙織、あれが食べたい!」


まだ自分のことを名前で呼んでいた時期。お父さんの手を引っ張ってその屋台の前まで行った。



「好きなのかけていいからね。」


目の前には十種類以上のシロップ。何にしようと迷っていた時、



「俺、ぶるーはわい!!」


隣にいる、お母さんと来ていた男の子が大きな声で言った。


それを見て、小さいときは男の子は青、女の子は赤というイメージを持っていたことを思い出し、


「沙織はいちご!!」


と、隣の男の子に負けないくらい元気な声で言った。




PART,2 青色と赤色のカキ氷







「もうちょっとでお祭りの時期だね。」



名前も知らない男の子と勝負してから2年が経った。


今は高校一年生で青春真っ盛りな時期。



同じ高校に入った親友の咲にそう言葉を振れば「あー、そういえばそうだね。」と思い出したように言った。




「沙織、2年前の金魚すくいのこと覚えてる?」



「覚えてるよ。忘れるわけないし。」



「あれ?結局また勝負したんだっけ?」


「してない。あの人、自分から来年また勝負、とか言っといて結局来なかったし。」



「今年は来るかな?」



「来ないでしょ。もう2年も経ってるし。」




昼休みの終わりのチャイムが学校中に響いた。




あたしは1年2組。教室に戻る際話し声が聞こえた。



「なあ千鶴!!もうちょっとでお祭りだぜ!?」



「平助君お祭り好きだもんね。楽しみだね。」



「今年も一緒に行こうぜ!!金魚すくいの勝負しようぜ!」


「えー、やだよ。平助君に勝てるわけないし。」




あの2人は確か1組の…、なんだっけ?


名前は忘れたけど、なんか付き合ってるとかいう噂を聞いたな。本当かどうかは知らないけど。



「やばッ 次体育じゃん」



言われてみれば。今日は外でサッカーのはずだ。急がなきゃ。咲と一緒に急いでグラウンドに向かった。



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