鈴の音と下駄の足音
□初仕事
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「ここは、島原どすえ。」
「…うっそ。マジで…?」
part8 初仕事
こんにちは。日向沙織です。
只今私、京のキャバク…ごほんっ。
京の『島原』という所に来ています。
はい!!先生!!島原、て何ですか!?
おぉ!!良い質問だ!よぉーし、よく聞けよぉ!!
島原とは、
女と男がにゃんにゃんする場所だあ!!
ふっざけんなぁぁぁあああああ!!!
いや、ほんと、マジで。
男がいやであそこから逃げてきたのに、なんであそこよりも男と関わらなきゃいけない場所にあたしは来てんだ。馬鹿か。
「さぁ。行くでありんすよ。」
「え、ちょっ!」
清華さんに腕を引っ張られ、清華さんのお店であろう建物の中に入った。
「……わ、…凄っ…」
その建物の中はとても綺麗で。綺麗な着物を着て、整った顔立ちをした女の人がたっくさんいる。
そして、その横にはまったく釣り合っていないおじさん共が。
「…」
唖然としていた時、
「清華っ!お前また抜け出したな!?」
「…もうしわけありんす。」
「ったく。何度言わせれば気が済むのか…。お客がお待ちだ。さっさと支度をしろ。」
「あい。」
ちょっと怖い顔をしたおじさんがやってきたと思ったらいきなり清華さんを怒鳴りだした。
まぁ、会話を聞いている限り清華さんがいけないのかもしれないが。
「…ん?この娘はなんだ?」
「…新しくこの店にはいった子でありんす。」
「……そのような者のことは一切聞いていないが?」
あたしの存在に気付いたこのおじさんは眉間にしわを寄せ鋭い目つきで聞いてきた。釣り目野郎か、っての。てか見てんじゃねぇ。
「…事情は後でしっかり話しんす。どうか今はご勘弁を…。」
清華さんが浅く頭を下げたのを見て、このおじさんはため息をついた。
「……客が待っていると言ったはずだ。早くしろ。」
…素直じゃねぇな。
「あい。…では、いくでありんすよ」
「は、はいっ!」
何はともあれ、清華さんに感謝。
――‐
「え、あ、ああああたしも接客ですか!?」
「あい。よくお似合いでありんすよ。」
綺麗なお部屋に連れてかれたと思ったら慣れた手つきであたしなんかが似合うはずもない凄くきれいな着物を着せられた。
あぁ。鏡をどかしてください。
「花魁、お客がお待ちでありんす。」
「あい。今いくでありんす。」
すると、スッと襖が開いたと思えば、そこにはかわいらしい女の子。…ってか今この子「花魁」って言った!?
お、花魁って…あのキャバクらで言う「NO,1」ってやつだよね!?
清華さんすっげ。