鈴の音と下駄の足音

過去、現在、未来
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「おい…、藤堂の質問には答えて俺の質問には答えねぇとはどういうことだ。」


「…こういうことです」


「こう、とはどれだってんだ!!」


「………はぁ。……それは、携帯電話、といいます。」


「……携帯電話?」


あたしは床に転がっていた携帯を取って開いた。そうすれば、この部屋にいる何人かが「おぉ」とい声を漏らした。



「…遠くにいる人と会話ができたり、メールというものを送ったり、写真を撮ったり…。いろいろ便利な道具なんです。」


「……めーる、とはなんだ。」


…そんな質問初めてだ。なんて答えればいいのだろう。



「…えーっと…、説明するのは難しいんですけど…。…この画面に相手に伝えたいメッセー…思いを書いて送信すれば、その思いが相手に届く仕組みになっています」



「そ、そんな便利なものがこの世にあるとは…!!」


驚いたように言うのは局長さん。ごめんなさい、この世のものじゃないんです。いや、この世のものなんですけど…。まぁ、今実在して良いものじゃないんです。



「…い、今は使えませんが……。」


「…何故だ」



電波がないからです。


と、言えるはずもなく…。


「こ、壊れてしまっていて…」



「ねぇ、これは何?」


先ほど「面白い子だね」と言ってきた彼が鞄の中に入っていたチョコレートを指差して言った。



「あー、…こそは……、チョコレートです」


さすがにこればっかりは、他の言い方が思いつかなかった。



「…ちょこれーと…?…何それ…」


「あ、甘いお菓子なんですけど…。食べてみますか…?」


箱から1つ取り出して彼に手渡した。


じっとそれを見た後、ゆっくり包み紙を開いて長方形の焦げ茶色の物体をまじまじと見る。


「…これ、…食べれるの…?」


「…はい。…それは保障します」


「ふぅん…。」


そう言って、それを口に含んだ。


「…!」


「……ど、どうですか…?」



食べた瞬間目を見開く彼を見て、恐る恐る聞けば…、



「何これ…、凄くおいしい…。」


「…そ、それは良かったです…」


「お、俺も!俺も食べて良い!?」


「あ、…はい。…どうぞ…。…てか皆さんも…」


そう言って、この場にいる全員にチョコレートを配る。


みんな一斉にチョコレートを口に含んだ。そして反応も皆一緒。…あれ。1人だけ違う。



「…甘ッ……」


「はっはっは。トシは甘いのが苦手だったな!」


ふッ。ざまぁみろ。



「……って!こんな楽しんでる場合じゃねぇんだ!」


「…」


「…此処に全員集めた本来の目的は、コイツを誰の小姓にするかって話だ。」


…わっつ?





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