釣り目野郎について行けば、いつの日か皆で話し合ったあの部屋に連れて行かれた。
その部屋の中には、この前と同じ面々。
「…あの、あたし此処で「駄目だ」…」
あの時と同じように部屋の一歩手前でも良いかといえば即答で釣り目野郎に否定された。
「じゃあアンタの事殴っても何も言わないでよ?」
「ナメてんのか?」
「ええ。」
彼は鋭くあたしを睨んで局長さんの隣に座った。
その向かいに、お前は座れと指示される。
「君、面白い子だね。」
「…」
「そんな警戒しないでよ。…土方さんにあんな口聞ける子、そういないよ?」
「おい、総司、そんな話は後でしろ。…本題に入るぞ」
釣り目野郎がそう言うと、この部屋の空気がちょっと張りつめた。
「お前には、聞きたいことがまだ山ほどある」
「あたしはアンタ達に言うことなんて何もない」
何でだろう。釣り目野郎には絶対に反抗してしまう。
「…まず、これだ」
だが彼はあたしが言うことを見事にスル―。そして何処からか取りだしたのか、彼があたしの前に差し出したのはあたしのバック。
「それ…!あたしのバック!」
「…ばっく?」
あ…。そうか…。此処は大昔、幕末の時代なんだ。あたし達が日常的に使ってる英語とかは通用しない時代なんだ。
何か、改めて思い知らされたな…。
「…あたしの鞄。」
「……中を見せてもらったが…。」
勝手にみてんじゃねぇーよ。コノヤロウ。
「勝手に見ないでくれますか?…返して。」
そう言って、手を前に出しても、彼はあたしに返そうとしない。
そうするどころか、鞄の中身をその場に全て出した。
「…何すんのよ。」
「……まず、…これは何だ。」
さっきから無視ばっかり。ほんと、腹立つわぁ。
鋭い目線を向けるあたしを余所に、彼は携帯を指差した。
「………さぁ」
挑発的な言い方をすれば、彼は目を細め、眉間に皺を寄せた。
「……てめぇは…、余程俺を怒らせたいたしいな」
「いまさら気付いたの?」
「…!!…いいかげ「なぁ!これ何だ!?」
ついにキレたか、と思った時、この場に似合わない、明るい声が入ってきた。
その声は翡翠色の彼のもので。
彼が指差す先には…、
「あー、…それは…、化粧ポーチです。」
このくらいの年の女の子なら皆持っているだろう。
「…ぼーち?」
嗚呼 またやってしまった。
「…つ、つまり、化粧品が入った小さな鞄です。」
「へ〜。…何か見たことねぇ物ばっかりだな。」
そりゃそうだ。だって、これは全部未来のものなのだから。