鈴の音と下駄の足音

ノイローゼ
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「ん…ッ」


目が覚めた。


一番最初に目に飛び込んできたのは見たこともない天井。


焦げ茶の、ちょっと古びた感じの木で出来た天井。


あれ、あたし…どうしたんだっけ?


ぜんぜん思い出せない。


起き上がって部屋の中を見てみればこれまた和の造り。


格好は何時もの格好。


ちょっとの恐怖心と好奇心と共に障子を開けた。


そこには中庭?的なものが広がっている。井戸もあるし小さな池も。うん。これまた和だ。


リン リン

カラン カラン


「ッ…!!」


鈴の音と下駄の足音が聞こえた。それと同時に頭痛があたしを襲う。


あぁ。思い出した。


あたしはどこか分からないところにいきなり飛ばされたのだ。


…うわ。あたし超冷静じゃね?




part3 ノイローゼ





「…さぁて、どうしたものか。」


再び部屋の中に戻り一人手を組んで考える。


どうやって此処から逃げ出そうか。


きっと此処はあの丘で出会った男たちの家、といったところだろう。


この飛ばされた場所がどこか知らないが、男がいるんだったらあたしはこの知らない地を全力で逃げ出す。


うーん。


「…起きたのか?」


「ッ…」


いきなり、障子越しに話しかけられた。


「……寝てます」

「いや。起きてるよな」

「…」


くそッ 鋭いな←


「入るぞ」


そう一言言って、男は障子を開けた。その人はさき丘にいた男。背が高くて、赤茶色の髪をした人だ。


「は、入ってくんな!!」


「…」


「は、話すから…逃げないから…は、入ってこないで。」


「……ついてこい」


一定の距離を保って、あたしは彼について行った。




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