鈴の音と下駄の足音

ハロー、絶望の日々
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「……え?…此処、どこ…?」


今、あたしは丘の上のようなところにいる。


そこからの眺めは凄く綺麗。そりゃぁとても。とってもとっても綺麗です。


良いね。こういう風景好きだよ。


『和』って感じの。うん。京都って感じ。


あー、あと桜とかあったら完ぺきなんだけどな…


おっ 何だ、目の前にあるじゃん!


綺麗だなぁ。



じゃない!!!


いや、マジで本当に此処何処ですか!!




part2 ハロー、絶望の日々





待て。落ち着こう。


状況を整理するんだ。そう落ち着いて、沙織。


今日も普通だったよね?普通に起きて普通に買い物して普通に帰った…はずだった。


でもなんか鈴の音と下駄の音が聞こえて…。


で、誰かにぶつかって目を開けたら此処にいた。


いやいやいや。いろいろおかしいでしょ!


なんなんだよこれ…。



「今日が非番でよかったよなぁ」


「だよなー」


いろいろと頭がいっぱいいっぱいになっている時、約3人ほどの話し声が聞こえた。


自分でも分からないが、とっさに桜の木のに隠れる。



「おー。こっからの景色はいつ見てもいいなぁ」


「ははッ。新ぱっつぁんおじさんみたい」


「んだと平助ー!!」


「い、痛い痛い!髪の毛引っ張んなって!!」


「おい、遊んでねぇでこっちも手伝え。お前らがいきなり花見したいって言うからわざわざきてやてんのに」


「そういう左之さんだって満更でもない感じじゃん」


「はは。ばれたか」


「ばればれだってのー!!」



…男かよ。


うわ。なんか一気にテンションさがったわぁ…。


…これからどうしよう。


てか、まず気になるのはあの人たちの格好だ。


何であんな浴衣?っていうのか?


なんか…兎に角『昔』って感じの。


し、しかも腰に刀差してない!?


な、何この人たち…!!




「…誰だ!!」



ッ!!


いきなり鋭い声が響いた。


ど、どうしよう!バレタ!!バレテシマッタ


こっちに足音が近づいてくる。


うぅー。男が近づいてくるってだけで吐き気が…。



「何だ女か」


「ッ!!!」



いつの間にか男3人に囲まれていたあたし。


あぁ。蕁麻疹(じんましん)でてきそう。



「な、なんだその格好。西洋のもんか?」


「ほんとだ。変な格好」


お前らに言われたくないわ!!て、てか…まず距離を取らなければ…。こっちの身が持たん。


後ずさりしたいが、後ろには桜の木があって下がることができない。


「ッ…」


「ま、まぁそんな警戒すんなって。別に取って食おうなんて思ってねぇよ」


そう言ったのは緑のバンダナをした男の人。




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