喧嘩対処法

でも現実
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去っていく彼女の背中を見ても、その場から動く事も、声を発することもできなかった。


頭が空っぽになって、馬鹿な俺は最初は全然理解できなくて、何かを掴もうとした宙に浮いている手は行き場をなくしてた。



状況がようやく理解できた時、1つ気になった事がある。



…あれ?


何で俺こんなドキドキしてんだ?



28,でも現実






「どうしようどうしようどうしようどうしよう」



さっきからこの言葉しか言っていない気がするのは気のせいではない。


勢い余って言っちゃって、逃げてきちゃって…。



わわわわわわわわわわっ!!!!


ど、どどどうしよう!!!



気まずいよ。気まずいよ!!


何だったら、返事聞いてから帰ってくれば良かった。



…学校行きたくない……。



――‐



明日にならなきゃいいのに、なんて小学生のような事を思って寝た。


いつもより早く朝が来たように感じるのはきっと錯覚だ。


行きたくない、という気持ちは昨日と変わらず。


だけど行かなくちゃ、と自分に言い聞かせて重い足取りで家を出た。



8時30分を過ぎたら遅刻扱い。


8時25分になった今でも、彼は来ていない。


ま、まさか来ないとか…?いや、まあそれはそれで良いんだけど…。でも、何か…。あたしがいるから来ないとか…?


1人でいろんなことを考えて、頭が爆発しそうになった時、



「セーフ!!」



時間ギリギリに、彼は教室に入ってきた。


上の言葉を言いながら教室に勢いよく入ってきた彼の表情は何時もと同じで明るかった。



人気者の彼は、いろんな人から挨拶をもらい、一歩一歩とこちらに近づいてくる。



彼の席が、あたしの隣だからこっちに来ているのに、まるであたしのところに来ている、と思ってしまうあたしは重傷だろう。




「…」


「…」



いつも挨拶をしてくれる彼は、今日は何も言わず無言で席に座った。



「…ッ」



涙が、出そうになった。



――‐



「今日は席替えするぞー」



1時間目のHRが始まった途端、担任がそう言った。


その言葉に嬉しそうな声をあげる者もいれば、ブーイングをする者もいる。



あたしは…、何とも言えないな。


このままの席じゃ気まずくて死ぬけど、彼と席が遠くなるのは嫌だ。


…あたし、……こんなに好きになってたんだ。


くじ引きを引いて自分の番号を黒板に書かれた座席票と見比べる。


えーっと……い、一番前!!??


うっわ。最悪。


最悪すぎて見直した。確かにくじの紙に書いてある7という数字は、一番窓側の一番前の席に書いてある。


……はぁ。


ツイてないときは、とことんツイてないあたし。


ふと、彼の姿を探せば、一番廊下側の前から5番目に座って、女の子と楽しそうに喋っている姿が目に入った。


…離れちゃった。


「沙織じゃん。よろしく」


「…一真……。」


隣に誰か座ったな、と思ったらそれは一真で。


どうやら今回の隣は彼らしい。


「一番前なんてついてないよなー」


「…ね。」



話はそれっきりで終わってしまって。なんだか一真に申し訳ない気がしたけど、今は誰とも話したくなかったんだ。





席替えが終わって再び先生が教壇に立った。



「えーっと…。時間が余ったから文化祭の話しするぞー」


その言葉に、今度は全員で盛り上がる。イベント大好きなこの人たち。


「今回は劇と出し物両方やるぞ」



その言葉にクラスは一段と盛り上がった。


二つもやるのか…。大変そう。



「今からアンケート取るから、劇でやりたいものと何の出し物やりたいか書いてくれ。」



うーん。…どうしよう。



「決めた?」


「ッ…あ、…ううん。……まだ」



話しかけてきたのは一真で。今まで隣といったらアイツだから最初は変に意識しちゃった。



適当に書いとけばいっか。



劇は眠れる森の美女

出し物は喫茶店


と書いて提出した。



楽しそうな笑い声が聞こえて、ふと見渡せば彼は何時もの笑顔で笑っていた。



開いていた窓から、少し肌寒くなった風が、髪の毛を揺らした。





でも
受け止められない

(自分から告ったくせに、)
(何言ってんだろ、)



――‐

へーすけ君出番少なっ!!!


つ、次は出します!…きっと←

えーっと…、

はい!再び登場いたしました!一真君!

今回も結構おいしい役にしようかな、と考えています!

次回、薄桜祭編スタート!!







 

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