喧嘩対処法
□自覚した次の瞬間
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「んーッ!!」
今日の分の宿題が終わって、大きく伸びをした。
エコ、ということでクーラーはつけない。
うん。よく頑張った。あたし。
皆で海で遊んだ日から3日が経った。
あの日以来、平助には会っていない。メールもしていなければ電話も。
ちょっと寂しく感じるのはなぜだろう。
…そういえば、この3日間一回も外に出ていないかも……。
運動がてら、欲しかったものもあるし、近くのショッピングモールにでも行こう。
パパッと支度をして、家を出た。
21,自覚した次の瞬間
欲しいと思っていたものを頭の中で整理して1つ1つゆっくりお店を見て回る。
もう欲しいものはない。
だけど、行きつけの雑貨屋さんがある。
そこには欲しいものがなくてもいつも行く。レトロな女の子っぽいものがたくさん売っている。一言でいえば、あたしに不似合い。
エレベーターで上の階にあがって目的地へ到着。
「……は?」
「え?…うおッ 沙織!?」
「…いやいや。驚くのこっちだから。」
そこに行けば、何故か平助の姿。
「……アンタってこういう趣味だったの…?……気持ち悪い…。」
「待て待て待て。落ち着け。別に俺はこういう趣味があるから此処にいるわけじゃなくて!」
「…じゃあなんな「平助ー。これ可愛くない?」…あ、」
「…え、…あ…こ、こんにちは」
手にコサージュを持ってこっちに小走りでやってきた彼女は海で会った女の子。
え?何?2人で来てるの?
何で? その言葉しか浮かばない。
何でこんなにも胸が締め付けられるのだろうか。
「…どうも。」
あぁ。また出てしまった。あたしの無愛想ぶり。
「無愛想は相変わらずだな」
「…あんたに言われなくても自覚済み。いちいちうるさいのよ。」
「あ"!?」
「何か?」
「あ、あはは…」
口喧嘩が始まったあたしたちを見て彼女は苦笑い。
初めて会った日は辺りが暗くて良く見えなかったけど…、
「ね?これ可愛いでしょ?」
「え?…あ、ああ。」
彼女はかなりの美少女だ。
綺麗な茶色の、ふわふわっとまかれた髪の毛。透き通るような白い肌。夏らしい可愛いワンピース。笑顔が似合う整った顔。
「モテるだろうな」が、第一印象。
「てか、沙織一人?」
「…そうですけど何か?嫌味ですか?」
「ち、ちげぇよ。ただ気になっただけ」
「あっそ。…そっちは2人?」
よし!このタイミングで聞けば怪しくない!
「え、あ…いや…。」
何だ?何故どもる。
2人なら2人といえば良いじゃないか。
「…本当は、中学の友達、6人で遊んでたんだけどよ…。ほら、あの海であった…。」
ちょっと照れた感じに言う彼。まったく先が読めない。「それで、」と平助は話しを続けた。
「一緒にいたつもりだったんだけど…」
「つもり…?」
「…あぁ。…なんかいつの間にか皆いなくなっちゃって…。」
ガキか。
アレでしょ?男女で遊ぶ時によくやるあれでしょ?「あいつら2人っきりにさせよーぜ」とかいうやつ。
ちらっと彼女の方に目を向ければ照れたように頬をちょっと赤く染めている。
…やっぱり、彼女は平助のことが好きなんだ。見ていて分かる。
「…ふ〜ん。それはさぞかし大変だったでしょね」
「……何怒ってんだ?」
「は!?怒ってないし」
「いやいや。怒ってるだろう。」
「怒ってないって言ってんじゃん!…じゃ、あたしもう帰るから。」
そう言って背を向けた。
「メールするから!また遊ぼうな!」
「…うん。…ばいばい」
もう一度振り返ってそっと笑った。その際、あの彼女と目が会いちょっと気まずそうに頭を下げてきたから、平助にばれない程度に頭を下げ、2人の前から去って行った
―--
…何故だろうか。
あの時は、何故か2人の前から早く立ち去りたかった。なのに、立ち去った今はあの2人の事が気になって仕方がない。
今何しているんだろう。まだ2人きりでいるのだろうか?もしかして、あの子が告白して付き合うことになっていたり?
「あ"−!!何考えてんの、あたし!!」
自分しかいない部屋でノリツッコミ。悲しいったらありゃしない。
…何でこんなに……、アイツの事を気にしているんだろうか。
……知っている。この気持ちは。
前にも、一回だけ、一回だけあった。
「…………恋、?」
嘘。…嘘……。
あたしが、平助に…?
恋してるの…?
「………嘘。……嘘ぉぉぉぉおおおお!!」
叫ぶ。
(自覚することで)
(今まで不思議に思っていたことが)
(全て辻褄があう)
(それがまた気にくわない)
―--
気付いちゃった。←
これから凄く話が進めやすいッ!