喧嘩対処法

波が引いた1秒後
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「…智香」


2人の様子を第3者として見たら…


絶対何かあるな、この2人。



20,波が引いた1秒後




「…どうしたの?智香…って、平助じゃん!!」


「え、あ……恵美」


「平助!?おぉ!!久しぶりじゃん!!」


「健太…!!勇気に、歩まで…。」


ぶつかった女の子と唖然としながら見つめあっていたら、一緒にいたもう1人の女の子が入ってきた。

その人も平助の事を知っている様子。

その女の子から発せられた「平助」という単語に反応し、一緒にいた他の人たちもわらわらとこちらにやってくる。


「あ!千鶴も一緒なんだ!!」


「久しぶり、恵美ちゃん」



ゆきむ…、千鶴ちゃんも知っている様子だから、きっと中学で一緒だった人なんだろう。


それより気になるは平助と「智香」と呼ばれた女の子だ。合って瞬間あの空気?てか雰囲気?…絶対何かある。



「へ、平助…、元気、だった…?」


「え、あ…まあ。」



何なんだこのぎこちなさー!!

ねぇ、ほら。見て?周りの人まで顔が引きつってる!!

“初恋”って感じね。


…恋?


え…まさか…。



「えーっと、…じゃ、またな平助、千鶴!今度遊ぼうな!!」


「お、おう!またな!」


「ばいばい」


これは空気を読んだ行動といえるのだろうか。まあ結果的には良かっただろう。

一緒にいた男の子が言った一言で彼らは去って行った。

「智香」と呼ばれた女の子は名残惜しそうに平助を見て歩いて行った。


それから何とも言えない雰囲気で花火が終わってしまった。


「平助のせいで空気悪くなったね」


それ、そんなにサラっといいますか?沖田先輩。


「…別に…、俺のせいじゃなくね?」


うーん。なんとも言えないところだ。

まあそんな事はどうでもいいとして凄く気になるのは彼らの関係だ。


これは聞いていいものなのだろうか?


聞きたい!で、でもなぁ…


「ねぇ、平助とあの女の子、何かあるよね?」


あぁ。こんなに悩んでいたあたしは何なんですか?沖田先輩。


「べ、べっ別に何にもねぇよ!」


いやいや。絶対何かあるよね?


「どもるところが余計怪しいよ。ねぇ、何があったの?」


「だから!何にもねぇって言ってんだろ!」


「あッ…。…いっちゃった。」


少し顔を赤くした平助はこれ以上聞かれることに耐えきれなかったのか、砂浜を走って行った。


それから誰も平助を追いかけることんく放置。あーぁ。なんか可哀そう。特にやることもなかった残されたあたし達は何故かその場で雑談タイム。



「…あたし、飲み物買ってきます」


「いってらっしゃーい」


皆に見送られて、来るときに見た自動販売機まで駆け足で向かった。



「あ…。」


「あ、」


そこにはぼーっと空を見上げる平助の姿があった。


「……何か寂しい人みたい」


「うるせぇ!お前に言われたくねぇよ!!」


「は?あんたより寂しい人じゃないし。ナメんな」


「……はぁ」



な、なんだ。そんなところでため息を突くなんて卑怯だぞ。おい。



「な、何よ…」


「…別に」


そう言われると余計気になるのが人間ってもんだ。


「…ねぇ。あの女の子と何かあったの?」


「……お前もそれ聞くの?」


ちょっと悪い気もしたけど知りたいから…。ということで素直に聞いたら平助はあきれた目であたしを見た。


「だってどう見てもおかしいじゃない。会った瞬間あの雰囲気。絶対何かあるでしょ」


「…はぁぁ」


あたしがそう言うと、彼は深くため息をついた。


「……ま、別に言いたくなかったら無理に言わなくてもいいけどさ」


「…」


何も言わなくなった彼を見て、これ以上聞いても気分を悪くしてしまうだけと思ったから、もうそろそろ皆の元へ戻ろうかな、と思い立ち上がった時、


「…中学の時、……振られたんだ。あいつに」


「…え?」


ドクン、と大きく胸がなった。


「……中3の冬、告白して…振られた。『受験に専念したいから、ごめんね』って。」


「…」


知りたかったはずなのに、何故か言葉が出てこなかった。あぁ。なんてあたしは都合のいい女なのだろう。


「…それからぜんっぜん話さないまま卒業して…で、約半年ぶりにアイツとさっき話した」


「…」


その言葉を聞きながら、何を言おうかと頭の中はぐちゃぐちゃだった。


そして、ふと「智香」と呼ばれる女の子の顔を思い出した。さっき平助と喋っていた時の悲しそうな、何か言いたいことがあるのに言えなそうなあの表情。


「智香」って人は平助のことが好きなんじゃないのかな?

そして、今のこの平助の雰囲気を見るからにまだ「智香」って人のことはあきらめついてなさそうな様子。


ってことは…両想いか?


ドクンッ


あれれ。心臓が痛いぞ?

苦しくて、苦しくて…。あぁ。涙、なんて物が出てきそうだ。


無意識のうちに彼の事を見つめていた。

その視線に気づいた彼は、弱々しくあたしに笑いかけた。






涙ポロリ
(ひとつ零れた涙を)
(彼に見られたくなくて、)
(下を向いて、弱く笑った)



―--


智香ちゃん。

名前固定ですいません!

えーっと…、

まだよく話が見えてきませんね。私もです!

ヒロインちゃんはまだ自分の気持ちに気づいていないし、平助君はまだ本当に智香ちゃんのことが好きなのか…!?

と、いうところをちょっと気にかけて次回、お楽しみください!








 

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