喧嘩対処法

彼のコト
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「じゃあ日向、藤堂の家にプリント届けてくれな。」


「…は?」



12,彼のコト





最悪だ。いや、もう本当に。最悪という言葉しか思いつかない。


ああ。もう最悪だ。


何が、って?


今日、藤堂は学校を休んだ。ただの風邪らしい。


今日は静かにのんびり過ごせたなぁ、と思った帰りのSHRが終わった瞬間、先生に言われた。「プリントを届けろ。」と。


何処に?

藤堂の家に。


何で?

家が近いから。


だ、そうだ。


うわ。最悪だ。


―--


ピンポーン


意を決してインターホンを押した。


押してから数秒後、ガチャと音を立てて扉が開いた。


「…あ、とうど…ガチャ」


家から出てきたのは藤堂本人で。


彼はあたしの顔を見た途端、扉を閉めた。


…はぁあああ!?


「ねぇ、嫌がらせもいい加減にてください。あたしなんてあんたの家に手紙を届ける、っていう嫌がらせを現在進行形で受けてるんだから。さっさと開けて。」


そういえば、ゆっくりと扉が開いた。


「………夢かと思って。」



いや、どんなんだし。



「…はい、これ。今日配られたプリントと、ポッキー。」


「…何でポッキー?」


「あたしからのお土産。」


「……サンキュー。」



そういう藤堂はちょっとぼーっとしてる感じ。まだ体調は良くないのかな?



「じゃ、それだけだから。」


「送ってく!」


「え、」



用件は済ませた。さぁ帰ろう!と思った時、藤堂は言った。


「…病人に送ってもらほど、あたしか弱くないし。」


「しってる。てかお前をか弱いなんて思ったことない。……今日一回も外出てねぇし。もう熱もないからさ。」



…なんか失礼な事を言っていた気がしたけど、気のせいってことにしとこう。



スウェット姿の藤堂と一緒に家を出た。



「…明日は来れるの?」


「おう。行くつもり。…俺がいなくてさびしかったとか?」


「…調子のんなんで。」



そんな会話をしながら、公園前を通った時、



「へいすけだぁ!!」



元気な男の子の声が聞こえた。


声が聞こえた方に目を向ければ、そこには小学校2年生くらいの男の子。



「おお、秀じゃん!」


その男の子は秀(しゅう)という名前らしい。可愛いな。


そんなことを思ってると…、



「へいすけ兄ちゃん!」


「へーすけ!」


「わぁ。へいすけだ!!」


と、公園からぞろぞろと藤堂に向かって走ってくる小さな男の子と女の子たち。ざっと数えて7人くらいいるだろう。
「おお、皆そろってるじゃん。久しぶり。」


いつも見せる、小さな子供みたいな笑顔をする藤堂。楽しそう。


藤堂を囲む子供たちも、満面の笑顔。


そんな光景をじっと見ていれば、


「……ねぇ、この人へーすけの女?」


一人の男の子がじっとあたしを見て行った。“女”って、ね…。あなたみたいな子供がそんな言葉を使うんじゃない。…って!!


「「ちがう!!」」


必死に否定すれば「ちぇ、つまんねーの」と石を蹴る真似をした。


「だめよ!へいすけは、あいちゃんと結婚するんだから!」


と、藤堂の足に抱きつきあたしを睨む可愛い女の子。


「…へぇ。モテモテね、藤堂」


「っるせぇ!…ああ、もう!よし!久しぶりに俺が遊んでやる!サッカーするぞ!サッカー!」



気を取り直すように言う藤堂の言葉に小さな子供たちは盛り上がり、公園へ駆けだす。


なんか面白そうだから、という理由であたしはぶらんこに乗りながらその光景を眺めていた。



「…楽しそー。」


本当に楽しそう。しいて言うならあれね、大人気の小学校の先生、ってところ。


ふと、公園にある時計に目を向ければ、もう5時半。そういえば、今日は家族で出かけるんだった。そろそろ帰らねば、と思い、ぶらんこから降りた。




「藤堂―、あたしもう帰るねー」


「え?あ、ちょっと待て!」



サッカーから抜けてこっちに走ってくる藤堂。てか、病み上がりなのに大丈夫なのか?



「…なに?」


「あ、いや…特にこれといってないんだけど…。」


「…そう。じゃ、明日ね。」


「おう!ありがとな、届けてくれて。てか、送っていくっていったのに、ごめんな。」


「別に気にしてないよ。…じゃあね」


「明日な!」



また聞こえてきた楽しそうな笑い声を耳に、家に向かった。





彼の人柄
(なんとなく分かってたこと)



―--


平助君ってどんな人かな、と考えてた時に思いついたネタ。


近所の人からの評判は絶対に良いと思う。で小さい子から人気者。


いいですねぇ←








 

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