喧嘩対処法
□喧嘩するほど、
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「…何でそうなんの?」
「だから!これをこっちに移行して√をつけるの。」
「……あぁ…、」
「いや、絶対分かってないでしょ。」
「だって分かんねぇもんは分かんねぇんだからしょうがねぇだろ!」
「開き直ってんじゃないわよ!」
「てか、お前の教え方が下手なんじゃねぇ!?」
「何ですって!?」
「おい、そこ。うるさい。」
11,喧嘩するほど、
数学の時間、藤堂から「分からないから教えて、」と言い出した。
それから普通に教えてたつもりだ。だが一向に藤堂は理解できない、と。そしてあれだ。
「あーぁ。数学なんて消えちまえ。」
終いにはこんなことを言っている。
「…あんた、予習って言葉しらないの?」
「そんな言葉中学2年くらいで俺の中から消えた。」
「…はぁ」
「ため息つくなよな!」
「平助君と沙織ちゃんて、仲良いよね。」
と、ここであらわれたのは雪村さん。
…ん?ちょっと待て。今なんて言った?
「え?」
「え?、あ…だから、平助君と沙織ちゃんって仲良いな、と思ってさ。」
…はい?
「「いやいやいや。ないないない」」
と、二人揃って大否定。
当たり前だ。仲が良いなんて思われてたまるか。
「沙織と俺が仲良い…?千鶴、頼むからそんな面白味の欠片もないジョークはやめてくれ。」
藤堂は藤堂で失礼なこと言ってるし。こっちの台詞だっての。
「……ムカつく。」
「あ?」
「ムカつく、って言ったの!ああ、ムカつく!!」
「はぁ!?」
キッという効果音が似合うであろう目つきで彼を睨めば、彼はふん、と顔をそらした。
「あははッ、喧嘩するほど仲が良いって言葉、凄く似合うね。」
雪村さん。本当に、もうやめてください。何にも面白くないです。
「……はぁ。」
「ため息つきたいのはこっちだっての。」
「じゃあつけばいいじゃない?どうぞ、ご自由に。」
嫌味っぽく言えば、彼は一瞬あたしを睨んでわざとらしくため息をついた。
喧嘩するほど仲がいい…?
いやいや。
仲が悪いから、
喧嘩するんでしょ
(喧嘩するから仲が悪い)
(仲がいいから、喧嘩する…?)
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なんだこれ。