喧嘩対処法

思ってることと反対の行動
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「日向おはよ。今日遅かったじゃん。てか、下駄箱に何にも入ってなかったな!」


「……うん」


「…日向?」


心臓痛い。


8,思ってることと反対の行動





「………はぁ」

「あれ、僕のお気に入りの場所、取られちゃった。」

「え…?」

お昼は、いつも教室で食べてるけど、今日は藤堂も教室で食べる感じだったから、裏庭に来た。

そこには誰もいなくて、心地よい風の音だけが響く。

すると、赤みがを帯びた茶髪のきれいな髪色を持った男の人が現れた。


「あ、君、昨日の…。」


「あ、…」


もしかして、昨日ぶつかっちゃった人かな?


「…君、昨日何で濡れてたの?」


「そ、それは…」


「何であんな急いでたの?」


「ッ」


「何で、泣いてたの?」


な、なんだこの人…、なんかいろいろ鋭そう。口は笑ってるけど目は全然笑ってない。正直言うと、怖い。


「ははッ。ごめんごめん。ちょっとイジメすぎちゃった。」


「…」


「僕、沖田総司。2年の。好きなように呼んでね。」


「……じゃあ沖田先輩、で」


「堅苦しいなぁ。ま、良いけど。」


あたしの横に、彼は腰を下ろした。



「…別に言いたくなかったら良いんだけどさ、なんかあるでしょ、君。」


「…ッ」


思った通り。鋭いな。僕は全部を知ってるよ、って感じのオーラをだしている。


「…別に。大丈夫です。もう解決したんで。」


「そんな表情で言われてもなぁ。」


「……そんな表情、ってどんな表情ですか?」


昨日、藤堂にも言われた。“顔に出てる”って。



「ん〜。“平気な振りをしてます”って顔だね。」


「…」


「頑張って隠そうとしてるけど、隠しきれてない。辛くて悲しくて、誰か気付いて、って感じ。」


「…そうですか。……それじゃ、これで失礼します。」


このままこの人といたら、全部見透かされそうで怖くなって足早にこの場を去ろうとしたら…、


「……別に、君がイジメられていようと、辛かろうと悲しかろうと、僕には関係ないけどさ、自分に素直になった方がいいんじゃない?沙織ちゃん。」


「……失礼します。」


…あれ?あたし、沖田先輩に自己紹介したっけ?


「…面白い子だなぁ」



―--



「日向、お前どこ行ってたんだよ。いつも教室で食べてるのに。」


「……気分転換だよ。」


「……なあ、お前なにか「藤堂君!」」

そこで、藤堂に話しかけたのはあの女。


「藤堂君ってこの歌手好きでしょ?CD持ってるからかそう「ちょっと待って。」…え」


そのままこの人と話しててくれればいいのに。


「待てよ、何かあっただろ?」

彼はあたしの右手首をつかんで離さない。


ふと藤堂の後ろにいる彼女に目を向ければもの凄く睨んでいる。あたしがしたくてこの状況になった訳じゃないのに。断れば良いんでしょ?


「…別に。何にもないってば。」

「嘘だ。見てりゃ分かる」

「……本当に何でもないから。」

「……頼れ、って言っただ「何でもないって言ってんでしょ!!」え…」

何いってんの、あたし。


「…いい加減にして。もう良いから。もう大丈夫だから。もう……関わらないで。」


「…お前、何言って……」


「………本当のことを言っただけ。」


最初と比べてかなり力が弱まっていた彼の手を振り払って、チャイムがなったのに教室を出て行った。





逆らうことは
許されないのか?

(許されたいの?)









 

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