喧嘩対処法

イジメという名の能がない奴らがする遊び
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「…ない。」



上履きが、ない。




4,イジメという名の
能がない奴らがする遊び





「…24pのください。」


「何で上履きなんて買ってんだ?」


朝、今日は日直だったから早めに学校に来た。


学校に来て一番最初にすること、そう、上履きに履き替えることだ。

だが、その肝心の上履きがない。昨日もちゃんと定位置において帰った。


それなのに…。


だが、学校で上履きを売っているのが不幸中の幸いだ。そして、たった今上履きを買った……ところを藤堂に見られた。



「…別に。」


「いやいや。上履き買うのに別に、なんて理由はねぇだろ。」


「……ぼろぼろになってきたから、変えただけ。」



「ふぅ〜ん」




あまり納得していない様子の藤堂を横目に、教室に向かう。




「…何で付いてくんの?」


「付いて行ってるわけじゃねーし。俺も教室行くんだよ。勘違いすんな。」



「……てか、何でアンタ今日こんな早いのよ。」


「なんか早く目覚めちまってさ。」


「何それウケル。」


「何にも面白くねぇよ。おい。今の何処にウケル要素があるんだ?」



小さな口げんかをして教室に到着。まだ誰もいなかった。



―--



「………はぁ」



お昼休み。ご飯も食べ終わって、トイレに行って教室に戻ってきて、次の授業は国語。予習でもしておこうかな、と思ってノートを開けば、そこには「死ね、調子のんな、ブス」などなどくだらない言葉がずらり。


死なねーし、こんなことやってるあんた達の方が調子のってんだろ。ブスとか、別に自分のこと可愛いなんて思ったことねぇし。


と、叫びたいのはやまやまだが、それはさすがに不可能で。その部分だけノートを切り取り、学校のゴミ箱に捨てるんじゃちょっとあれだから、鞄の中に押し込んだ。




どうやらあたしは一般的に言う「イジメ」というものにあってしまったよう。

別に、誰かに相談するつもりないし、被害者ぶるつもりもない。悲しみだってしない。辛くもなんともない。どちらかというと、誰にもばれたくない。面倒くさいのは嫌だ。



「あー、次国語か。」

特にコイツには。


「……はぁ」


「人の顔を見てため息をつくなよ!」


時間が解決してくれる。きっと。




―--



「おーい、教室掃除の奴誰かゴミ捨てに行けよー。」


全ての授業が終わり、掃除の時間。


あたしの班は教室掃除。ゴミ捨てとか面倒くさい。そう思った時、教室の端っこでサボってる藤堂の姿が目に入った。



「ねぇ、アンタゴミ捨て行ってきてよ。」


「は?何で俺なんだよ。」


「サボってんだったら、そのくらいやってよ。


「ったく。めんどくせぇな…。」



ブツブツ文句言いながらゴミ捨てに行った藤堂の姿を見た後、後ろに下がっている机を元の位置に戻した。





「…めんど。」


俺達の教室は一番上の4階にある。ゴミを捨てに行くところは1階にある。あー、めんど。


教室にあるゴミ箱より大きなゴミ箱に、ゴミを入れればゴトッと何か鈍い音がした。


何だ?と少し気になってゴミ箱の中をのぞけば2足の上履きが。



「……誰のだ?」


上履きを学校のゴミ箱に捨てるなんて、さすがに俺でもしねぇぜ?なんて思いながら上履きに書いてある名前が目に入った。



「…日向……。」



そういえば、アイツ今日の朝上履き買ってたな。もうボロボロになってるからって言ってたけど、全然ボロボロじゃない俺のより遥かにきれいだ。それに、あいつはこんな風に上履きを学校のゴミ箱に捨てる、なんてことはしないと思う。


でも、日向が捨てた、ってくらいしか俺には思いつかなくて、ちょっと気になったけどそのままスル―した。


この時から、俺は馬鹿してたんだ。







能がある奴らは
何して遊ぶ?

(日向、お前さ…、)
(何?)
(……いや、やっぱ何でもない)
(……うざ)
(はぁ!?)









 

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