喧嘩対処法

毒入りカップケーキを捧げましょう
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「では、今日の調理実習はお菓子作りです!できたものはクラスの男子にプレゼントしましょう!」


…は?




3,毒入りカップケーキを
捧げましょう






今日の調理実習がお菓子作りなのはよくわかった。よーく分かったよ。うん。だけども、なぜこの調理実習で作ったお菓子をクラスの男子にあげなきゃならないんだ?そこのとこをは全く分からないこれっぽちも。


「日向さんは何を作るの?」


「…カップケーキ。」


「あらいいじゃない!もらった男の子は喜ぶでしょうね。」


いや。だからさぁ…。


ま、良いや。とにかくカップケーキを作ることに集中しよう。







20分後―--



「…できた」


…のはいいんですが、で、どうしろと?


周りの女子は私もう決まってるんだぁとか、誰にしよう、迷っちゃう。とか、まぁ楽しそうで何よりです。


「あたし、藤堂君にあげようかな…。」


「あ!あたしもそう思ってた。」



…藤堂、か。


モテるのか…。まぁ、顔だけは良いからね、顔だけは。うん。顔だけ。


「沙織ちゃん、誰にあげるか決めた?」


「雪村さん…。ううん、決めてないよ。きっとあげないと思う。」


「え、でも先生それぞれ誰にあげるか、ってプリント書かせるって言ってたよ。」


あのおばさんは何が目的なんだ?あれか?恋バナ大好き中学生★ってか?


あ"−!!もう。どうしよう…。


―--



「なぁ、女子って今日何作ったんだ?」



「お菓子だよ。」



調理実習が終わって、教室に戻った。男子はクラスで自習。戻ってきた雪村さんに藤堂が聞いた。


「俺の分あるか!?」


「うん。今日の調理実習で作ったお菓子はクラスの男子にプレゼント、って計画だったの。」


「へぇ…。」


そう言った途端、藤堂があたしの方を見て憎たらしい、楽しい遊びを見つけた小学生みたいな笑顔であたしを見た。


「…何よ。」



「いや、お前誰にあげるのかな、って思ってさ。」



「…誰だって良いでしょ。」


―--


そんなこんなで放課後になってしまった。誰に渡したかっていうプリントは次回提出。


バラバラと帰りだした生徒達。隣には爆睡している藤堂。


…やっぱり、こいつにあげるしかないのか。


「……で、誰にあげるんだ?」


さっさと起こしてさっさと渡してさっさと帰ろうと思った時、爆睡していると思われていた藤堂が顔を伏せた状態のまま言った。


「…言ったでしょ、誰でもいいじゃん。」


「…あげる奴いないんだったら俺が貰ってやっても良いと思ったのによ。」


…ムカつく。


「いたッ!んだよ!!」


鞄に入っていたカップケーキを投げつけた。


「勘違いしないで。アンタにあげたかったんじゃない。そのカップケーキ毒入ってるから、あんただったらあげてもいいかな、って思ったからあんたにあげるの。変な勘違いしたらぶん殴るから。じゃ、」


早口で言った言葉は彼は聞きとれただろうか。息継ぎなしで言った後、早足で教室を出て行った。



「…はぁ。」



最終的にアイツにカップケーキあげたあたしが、負けたみたいでなんか嫌だ。










何が何でも
負けたくない

(…何だ、うめぇじゃん)
(てか、アイツ結構俺に食べ物投げるよな…)



―--



書いている自分も、2人のことがよくわからない。






 

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