喧嘩対処法

必死な君と無関心な私
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「あれ?…平助?」

「え?あ、お、おう!おはよ!奇遇だな!朝から会うなんて!」

「……いや、アンタの家、あたしの家より前にあるよね」

「…あ、…そういえば…そうだな」



40,必死な君と無関心な私



朝、学校へ行くため玄関を出た。すると、そこには何故か平助の姿。平助の家はあたしの家より前にある。つまりあたしの家より学校に近い。ここで出会う何てことは絶対ないはず。

それなのに、


「…何でここにいるの?」

「い、いちゃ悪いか!俺がいつ何処で何をしてようと俺の勝手だろ!」

「…そ、そうですね。」


結論→何をしたいのかさっぱり分からない。


「…学校、行かないの?」

「い、行くに決まってんだろ!」

「…じゃあ、…行こ?」

「お、おう!」


何か、めっちゃガチガチじゃね?何なんだ?





「…昼、だな!」

「…そうですね。」

「昼…、だな」

「……今日大丈夫?」


お昼の時間になった。最近は千鶴ちゃんと良く食べているが、今日は委員会の打ち合わせがあるとかで、一緒に食べれないとのこと。なので、1人で教室でお弁当と開いた時、こいつはやってきた。


寒くなってきたというのに、汗を流しながらガチガチな感じで聞いてきた平助。


「……なあ!!!」

「は、はい!」


さっきまで俯いてたのに、いきなり大きな声を出し顔を上げた。それにビックリして思わず返事をした。


「い、一緒に………ねえか?」

「は、はい?」



ごめん。最初と最後しか聞こえなかった。なんがごにょごにょと言っていたのは分かったが、最終的に何が言いたいのかさっぱり。



「だ、だからあ!!一緒にお昼食べねえか!?」

「……え、」


目の前の平助は顔を真っ赤にして言って来た。あまりにも大きな声だから、クラス全体に響いている。

平助のその言葉を聞いたクラスの男子は「ヒューヒュー熱いねえ」などとくだらない言葉を投げかける。そしてそれに平助も「っるせえ!」と反抗するからもっとそれがヒートアップする。


「…で、でさ……ヤダ…?」

「いいよ。」

「ええ!?いいの!?」

「……嫌なの?」


何なんだ。自分で誘ったんじゃないか。その癖あたしはが返事をすれば驚きながら言ってきた。



「ぜ、全然!!サンキュッ!!」


そう言う平助の笑顔は、いつもの笑顔だったけど、顔はずっと真っ赤だった。







「沙織……」

「…何?」


帰りのSHRも終わって、もう下校の時間。部活行く人は部活に行って、帰る人は帰る。

そしてあたしと平助は後者になるのだけれど…。


「い、一緒に帰らねえ……?」

「……いつも一緒に帰ってるよね?」

「え、あ、そっか!!そうだよな!!」

「…そうです」


最近はいつも一緒に帰ってる。「一緒に帰ろう?」とか、そう言う言葉はなくて、もう自然に2人で。


それなのに、今日コイツは聞いてきた。朝から様子は変だと思っていたが、ここまで来たらもう異常だ。


「………じゃあ、帰ろっか?」

「お、おう…」


若干テンションが下がった平助と一緒に、学校を出た。


最近はかなり寒くなってきて、陽が落ちるのも速くなってきた。辺りはもう暗くなり始めていた。


「……平助、公園寄って行かない?」

「え、…何で?」

「…ちょっと、話したい事あるし…」


明らかに様子が変。なんかあったのかな、とさすがに心配。この状況が毎日続いても困るし。ここはちょっと話を聞こう。そう思って、公園の前に来た時、隣を歩く平助に声をかけ、そう言った。



「え…。」

「…え、…あ、何か今日用事あるの?」


公園に入ろうと足を進めるあたしの耳に、少し情けない声が入ってきた。それは平助の物で、振り返れば悲しそうな、不安そうな、…とにかく、そんな表情をした平助がいる。もしかして、今日用事でもあるのかな?


「え、…あ…いや…。別に何にもない、から…。」

「…そう?じゃあ、…行こう?」

「…おう」





公園にあるベンチに2人で座る。空にはもう星が見え始めている。

さっきまでいた子供たちはもういない。


「……で、…は、話、って…?」

「…え、あ…その…」


何かこう改まって言おうとすると何か恥ずかしい。なかなか切り出せなかった。


「……あのさ、「ちょ、ちょっとストップ!!」


頑張って切りだそうとしたあたしの言葉を、平助はいきなり必死になって止めた。何だ?


「やっぱ無理!聞きたくない!」

「…は?」

「俺の何が駄目!?直すから!!」

「……は?」


………………意味が分からん。


あたしの目の前で何故か必死になっているこの男は何をしたいのだろうか。てか、何の話をしているの?話が噛み合ってないよね?やっぱり今日変だよ。


「ちょ、ちょっと待って。…何の話?」

「え、…だ、だから……別れ話、…だろ?」

「…………………は?」

「な、何だよ「は?」って!!お前が言いだしたんだろ!」

「ちょ、何言ってんの!?」

「こ、ここっちの台詞だっての!だから言ってんじゃん!俺の何が駄目だったのか!直すから!!だから別れるなんて言うなよ!」


言ってねえよ。


「…何か勘違いしてない?」

「え?」

「勘違いしてるようだから、説明するね?最後まで聞いてね?」

「お、おう…。」


「話がある、って言ってけど、それは別れ話なんかじゃないよ?」

「ま、マジ!!??」

「マジ。で、その話、ってのは…。…今日、平助変だよ?」

「え?」

「朝からずっと挙動不審だし、何か変だよ。何かあったの?なんか悩みでもあるんだったら、聞くけどさ…。」


出来るだけ目をしっかり見て、そう言えば、平助は自覚があったのか、ギクッという表情になった。これは何かあるな。


「……何かあったの…?」

「…」

「…平助…?…って!ちょっと!!」


聞いても何にも言わない平助。名前を呼べば、いきなり立ち上がったと思えば、すぐに腕を引っ張られ抱きしめられた。



「ちょ、ちょっと!ねえ!きいて「もうマジさあ!!」は、はい!!」


抱きしめる力はどんどん強くなってくる。行き成り声を上げるもんだからビックリするじゃんか。


「…何か、…ホント俺余裕なくて、さ…。」

「え…?」

「もっともっと、沙織と居たいのに…」

「え、」

「……俺、全然こういう経験とかないから、どうして良いか分かんなくて、…学校だって一緒に行きたいし、お昼だって一緒に食べたい。」


朝あたしの家の前にいたのはそういう意味だったのか。


「でも…ホント、分かんなくて…。…呆れられちゃったのかな、って思って。」

「…」

「…たぶん、沙織が思ってるよりも、俺自身が思ってるよりも、ずっとずっと…」

「…」

「沙織の事、好きなんだと思う」

「ッ!」


言葉にならないこの感情。胸がギュっと苦しくなって、心拍数がぐんと上がって、凄く熱くなって…あーもう!!


「そ、そんな恥ずかしい事言わないでよ!!」

「な、何だよ!本当の事だし!」


お互い顔が真っ赤だ。


「…なあ…。」

「な、何?」

「……あ、明日から…学校一緒に行かないか?」

「え、」

「で、出来れば昼も一緒に食べたいけど、最近千鶴と仲良いから、お昼は時々でいいからさ…、俺、迎えに行くから、……いい?」

「もちろん」


笑顔でそう言えば、一瞬キョドった用に目を見開いたが、すぐに真剣な顔をして、


チュッ


「………………え、」


何が起きたのか分からなかった。一瞬、本当に一瞬、唇に暖かい何かが触れた。平助も、一瞬目の前にいた。


「…ご、ごめん…。我慢、できなく、って…。」

「……………え、」

「うわああ!何かめっちゃ恥ずかしい!」

「……え…?…え?…え?え!?うえええええ!!??」

「うるせ!耳元で叫ぶな!」

「だ、だだだだだだだって!!!」

「ちょ、駄目!その事については触れるな!」

「えええええ!?」


嘘嘘嘘嘘嘘嘘!!うそでっしょおおおお!?

い、今…!


「き、きす…!」

「だーから!!言うなって!!!」

「不意打ちすぎ…!!」




どうやらこれからもまた大変な日々が続きそうです。


「も、もう帰ろう!平助が元気になったんだから、もう良いよ!」

「……まだ一緒に居たい。……駄目?」

「ッ!」



心臓が持つのかが、唯一の心配事ですが。




元気な君と無愛想な私
(これが最初の、きみとわたし)

――‐

こんにちは!おひさしぶりです!

やっと更新できました!


今回の作品は、瑞来様のネタを使わせていただきました!!拍手にてネタを投稿してくださり、本当にありがとうございます!

テーマは「頑張る平助君」です(笑

今後こういった話を何話か書き上げ、予定している1つのちょっと長い話を書き上げ、「喧嘩対処法」は完結となる予定です。

まだまだネタは募集しております!

感想などもお待ちしております!

ではでは!







 

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