喧嘩対処法

君と共に、
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がやがやと音を立て、掃除の時間が始まった。


サボっているものもいれば、一生懸命やるものもいる。


あたしはサボりはしないが、一生懸命やる人でもない。教室でほうき片手にぼーっと手を動かすだけ。


窓の外には、中庭の掃除担当の平助が友達と喋っていた。


「……はぁ。」






38,君と共に、





昨日、ちゃんと思ってる事を言おうとした。「この前はごめん。付き合ってる事、隠すのやっぱりやめよう?」って言おうとしたんだ。


でも、


「おーい!沙織ちゃーん!!」

「…」


コイツのせいで…!!!!


「おいおい。無視すんなよー。」

「うっさい!今すぐ消えて!」


こんな事を言っても無駄。奴はしつこい。


周りの奴らが冷やかしてくる。うるさいな!



「…ねえ、…俺の事そんなに嫌い?」



すると、いきなり奴が真剣な顔をして聞いてくるもんだから、「え…、」と言葉が詰まった。



「…ねえ、」

「…………別に、…嫌いとかそういうんじゃなくて、…。まず、あたしアンタの事全然しらないし。」



いつものふざけた雰囲気なら、「大嫌い」と叫んでいたはずだが、あまりにも真剣に聞いてくるから、そう言わざる終えなかった。


すると、周りでその光景を見ていた男子達が、


「んだよー!日向も満更でもねーじゃん!」

「一回付き合っちゃえばいーんじゃねーの!?」


こんな男子に乗って、皆「そーだそーだ」なんてくだらないコールが始まった。小学生か!!


「………俺、結構真剣なんだけど?」

「嘘でしょ!いきなり出てきて何が真剣!?本当に迷惑!どっかいって!!」

「マジだって!!」


ホント、何なの?

今まであんなチャラチャラしてたやつが真剣にんな事言ったって、あたしは騙されない!「女子はギャップに弱い」なんて思ってたら大間違いなんだからね!!


「大体!あたしには…!!」

「……「あたしには」?」


「……あ、…あたしには…、」


あたしには…、平助がいる?


そう言いたいの?あたし、


「……付き合ってるやつ、いないんでしょ?」

「…ッ」

「……ねえ、…俺と付き合わね?」


突然、肩を掴まれちょっと近い距離で改めて言われ、なんだか顔が赤くなった。


「ちょっと!!近い!!てか……だから…、…あ、…あたしには…!!」

「……何?」

「…あたしには…「あー。わりぃわりぃ」平助!?」


突然、あたしと奴の間に平助がずいっと入ってきた。


「…何だよ、てめぇ」

「あ、俺?俺、藤堂平助。」

「あ?ふざけてんのか?…今、沙織ちゃんと喋ってんだけど?邪魔。」

「え?あぁ。邪魔して悪かったな。」

「…さっさとどけよ。」

「あー…。…それ無理かも。」

「は?意味分かんねぇんだけど。今大事な話してんの。付き合うかもしんねぇの。分かる?」

「分かんねぇし。…てか、多分それあり得ないわ。」

「は?」

「これ、俺のだから。」

「うわっ!」


“これ俺のだから”その言葉と共に、視界が真っ暗になった。平助のにおいで一杯になる。あ、…あたし、抱きしめられてるんだ。



「は!?」

「ちょ、ちょっと!」

「お前は黙ってろ。」


周りからキャーキャー悲鳴が聞こえる。

うわあああああ。マジやめろ!!!


「…そーいう事だから。んじゃな!」



隙間から見えた平助の表情は、勝ち誇ったあの少しムカつく笑顔だった。


途端、手をひかれ校舎裏に連れてかれた。クラスからは悲鳴と歓声で溢れかえっていた。






「ちょ、ちょっと!何すんのよ!!」

「こうするしかなかったんだよ!」

「絶対他に方法あった!!明日から学校来れない!!」

「この学校に付き合ってるやつなんてたくさんいるだろ!?」

「そう言う問題じゃないの!!あー…もう。…恥ずかしかった…。」

「………あのさ、……昨日は、ごめん。」

「え…、」


途端、表情がいっきに暗くなり謝ってきた。


「…最後まで、話し聞いてやれなくて。」

「…いいよ。…もとはと言えば、あたしが「付き合ってない」って言ったのが悪いんだから。」

「……嫌だった?」

「え、」

「……これで、もう皆、俺達が付き合ってるって事、知っちゃったぜ?……やっぱり、…嫌だった?」

「い、嫌じゃないよ!!」

「へへッ。良かった!」


その笑顔が、あまりにも純粋で、可愛いくて、顔が赤くなった。


「あ?何赤くなって……って!そう言えば!お前!」

「え?何?」

「さっき、あいつからの告白に顔赤くしてただろ!」

「し、ししてないよ!」

「いーや!絶対してたね!」

「してないって!」

「……ま、…いいや。……んじゃ、教室戻るか。」

「え!!?む、無理!恥ずかしい!」

「大丈夫だって!ほら、行くぞ!」


いつもと変わらない笑顔で、手を差し出す平助。その手を少しためらいながらとって、「うん!」と答えた。






突っ走れ!
(沙織ちゃん!良かったねー)
(ち、千鶴ちゃんに一真…!)
(これで学校公認カップルだな!)
(あ、あはは…)


――‐


次回、日常編!書きたかったものが書ける!

スペシャルゲスト登場します!

お楽しみに!!

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