喧嘩対処法

恋愛対処法
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たとえ、恋愛の教科書があったって、


恋愛の先生がいたって、


あたしは、きっと馬鹿をしてしまうんだね。





34,恋愛対処法





目の前にいる一真はあたしを真っ直ぐ見ている。


1_たりとも逸らさない。



「あたし…」



頭の中に、一真との思い出が流れてる。初めて喋ったのは球技大会のころ。いつも心配してくれて、人一倍気配りができていた彼。



だけど、そんな彼との思い出が流れてる中、たまにちらつく憎たらしい笑顔があった。



「あたしは…」


見てるだけでイライラするし、どこか上から目線で、勝ち誇ったようで、



「一真の事…、」


眩しくって、暖かくて、


でも、何処か優しい、


そんな、大好きな笑顔があった。



――‐


「…俺、」



目の前にいる今野は顔を真っ赤にしながらも、俺を真っ直ぐ見ていた。


今野とは、クラスの女子の中でも割と喋る方だった。


いっつもニコニコしてて、柔らかい雰囲気でいる彼女の周りには、いつも人がいた。気配りも上手で、友達のために一緒に喜んだり、一緒に泣いたりしている姿を何回か見た事がある。


そんな、彼女の人柄や、彼女との思い出が頭の中で流れている中で、たまにちらつくめったに見せないアイツの笑顔が合った。



「俺は…、」



いつもの無愛想な顔からは想像もつかないような、柔らかくて、女の子っぽくて、



「…今野の事…」



どこか俺を試してるようで、ちょっとイラッときたり、勝ち誇ったように。


でも、すごく優しくて、暖かい。


そんな、大好きな笑顔があった。



――‐



「はぁッ…ッ」


今、俺は廊下を全力疾走中。

校庭で行われているフォークダンスはもう終盤を迎えた様子。


だけど、そんなの見向きもしないで、今、俺は走っている。



「くそッ…、何処だよッ…!」


俺達1年生の教室がある4階の廊下に入った時だった、


「うおッ!?」


「ッ!?……へ、平助!?」


「か、ずま…!」


ぶつかりそうになった張本人は一真だった。


「お、まえ!沙織しらねぇか!?」


「……沙織なら、さっきまで教室にいたけど…」


「まじ!?サンキュッ!……!?」


再び走り出そうとしたのを、彼は俺の腕を掴んで阻止した。



「な、なんだよ!俺今いそい「おれ、沙織に告白した。」!?」


コイツが言っている言葉が理解できてた時には、俺はコイツの胸倉をつかんでた。


「…どういうつもりだ。」


自分でもビックリするくらい、低い声だった。


「……告白するくらい、いいだろ?…振られたんだから。」


「……え、」


「……『友達以上に見れない』って。ありきたりだよなー。」


そんな風に言うあいつは、うまく笑えてなかった。


「それと、もうひとつ言われた。」


「…」


「……『好きな人いるから。…今、その人とどんなに辛い関係にあったって、…やっぱり好きだから』って…。……沙織の所に行くんだろ?」


「……ああ。」


「…しっかりやれよー。…そろそろ鈍感平助から卒業しなきゃな」


「……余計なお世話だっての。」


一真なら、「大事にしろよ」とか、「泣かすな」とか、そう言う事を言うと思ってた。


だけど、そんな俺の予想とは裏腹にコイツはそう言った。


少しためらったけど、沙織に、今の俺の思いを伝えるために一真の前から去った。



――‐



一真に告白された。


だけど、断った。やっぱり、あたしは平助の事が好きなんだよ。


校庭でやっているフォークダンスは終盤を迎えた様子。そんな光景をぼーっと見ながら廊下を歩く。


すると、前方から今野さんが歩いてきた。暗くてよく分からないけど、目が少し赤い気がする。


「…」


「…」


お互い目もいることなくすれ違う。だけど、彼女はすれ違う際、


「…平助君に告白した」


と、呟いた。


「!」


それには無意識に反応してしまった。


後ろを振り向いたけど、彼女はこちらを見ない。


「……振られたけど、」


「…え、」


「……「友達にしか見れない」って。…ありきたりでしょ?」


「…」


「……好きな人がいるんですって。」


「…」


「………あたし、やっぱりアンタの事大っ嫌い。」


「…」


「……本当は、こんな事言うつもりじゃなかったんだけどな…」


それだけ言って、彼女は去って行った。



彼女の言葉が頭の中でぐるぐる回っている。


……好きな人が、いる…?


不安と誰に対してか分からない嫉妬心が溢れてくる。


怖くて、手が震えだして、ぎゅっと握った時だった。



「沙織…ッ!!」


肩で息をして額から汗を流している平助が走ってやってきた。



「へ、いすけ。」


フォークダンスの曲が、止まった。



「…ど、どうしたの?そんなに急いで」


冷静に冷静に。


ここで取り乱したら、全てが終わる。


「沙織…」


「だ、ダンスおどらなかったの?」


「沙織、」


「あ、そうだ!劇、お疲れ様!」


「沙織…!」


「楽しかったね、文化祭」


「沙織!」


「そうだ!あ、たし先生に呼ばれてて…。じゃ、また「沙織!!」ッ!」


平助の声と、彼があたしの手をつかんだ事で、はっと我に帰る。


「…な、に?」


「…好きだ。」


「………え?」


言葉の意味なんて、理解できる。だけど、この状況がこれっぽっちも理解できなかった。


「え?…う、そ…。」


「嘘じゃない。…待たせて、ごめんな?」


「え!?ちょ、わわ…、あ、たし…え…」


きっと、今のあたしの顔は今までにないくらい真っ赤だろう。凄く恥ずかしくなって、手で顔を隠すけど、それを彼は許さなかった。


「ちょ、ちゃんと見て。」


「む、無理無理無理!!ちょっとタンマ!」


途端、彼は小さくため息をついて優しく抱きしめた。


彼の香りが胸一杯に広がる。あたしの心臓の音聞こえてないかな。


「分かった。…そのままでいいから…。…沙織の返事聞かせて。」


「………う、そじゃない?」


「え?」


「嘘じゃないよね?」


「…あたりまえだろ?」


「ぜ、ったい?絶対に?」


「絶対。…こんな心臓バクバク言ってんのに、嘘なわけねぇだろ。」


そう言って、彼はあたしの後頭部を掴み、自分の胸に押し付けた。


耳を澄まさなくても聞こえてくる。平助の心臓の音。あたしのより早いかも…。


「……嘘じゃ、…ないんだ…」


「どんだけ疑ってんだ。しつこい。」


「………あ、たし…」


「ん?」


「あたし……。平助の事…。」


「…うん。」


「……だ、いすき…!!」



―今日からお前は俺の危険対象だ!−

―どうぞご勝手に―


喧嘩から始まった、彼との物語。


―友達だろ!?−

ー友達なんていない!−


毎日のように喧嘩して、


―頼っていんだぜ?−

―頼る、って…どうやるの?−


彼のいろんな一面を知って、


―沙織って…名前で呼んでいい?−

―あの人の分まで頑張って、勝ってよ…平助―


名前で呼ぶ仲になって、


―平助の事が、好きなのに―


―今まで、沙織のこと、そういう風に見たことなくて…―


いつの間にか好きになってて、



「…俺も、好きだよ。」


「…うん…!」




与えよ
(届いた、思い)


――‐



いやぁったー!!!

やっとくっついたー!

長かった!とても長かった!

此処まで書きあげられたのも、皆さまの温かいお言葉のお陰!

本当にありがとうございます!

あ、最終回じゃないよ(笑

拍手でもあったんですよ。「次回最終話なんですか?」と。前回の最後に、ゴールは目前!とか変な事言っちゃったからですかね(汗

これからが楽しい所ですよね!!←

嗚呼。次回のネタがぜんっぜん思いつかない(^^)








 

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