金魚すくいと君との約束
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「じゃ、いってらっしゃい」



沙織の家は、それから5分もしないでついた。



「入って、正面に階段があって、一番奥の部屋があの子の部屋だから。あの子一人っ子だし、おばさんとおじさんは今屋台出してるから留守だしで、今一人だから大丈夫よ」



いや、だから何が大丈夫なんだよ。何にも大丈夫なんかじゃないよな…?




「あ、そうだ、あたしからも渡してほしいものが…、」




そう言って千鶴が渡して、といったべっ甲飴と一緒に焼きそばを渡した。




「よろしくね、」



「…おう。」




じゃ、と手を振って去っていく咲の姿が見えなくなって、俺は沙織の家のドアを開けた。



「お、おじゃましまーす……。」




入っても部屋の中は真っ暗で。勝手に玄関の明りだけを付ければ目の前に階段が見えた。



た、確か上がって一番奥の部屋だったよな、





一番奥に行って、その扉には「沙織」と書かれたプレートが。



ノックをしても返答もない。



意を決してドアを開けた。




部屋の中は電気は点いていて、窓側にあるベットには沙織が少し赤い顔をして寝ていた。



「…沙織ー?」



顔をのぞきこんで名前をよんだ。







「−!」



誰かに呼ばれた気がした。


少しずつ現実の世界へ引き戻される。



「…ッ」



「沙織…?」



「!!!」



「う"!!」




目を開けた瞬間、平助の顔のドアップが。ビックリして起き上がったあたしのおでこと平助のおでこが良い音を立ててぶつかった。




「いった〜…。へ、平助何で…。」


「お、お前…いきなり起き上がるなよな…。」



相当痛かったらしく、その場にしゃがみこんだ。




「ご、ごめん。だっていきなりでビックリして…。で、何でここに…。」



「お見舞いだよ、お見舞い!ほら、お土産。」



そう言って少しぶっきら棒にあ土産を突きだした。「ありがとう、」と一言言ってお土産を見れば、べっ甲飴と焼きそばとりんご飴。



「べっ甲飴は千鶴からで、焼きそばは咲から。で、俺からはりんご飴。」





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