金魚すくいと君との約束
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「あたし、沙織の家寄っていくけど、2人はどうする?」



9時半になり、よろよろ解散だろう、と思ったのか、咲が言った。



「ごめん、あたしもうそろそろ帰らないと怒られちゃうから…、お大事にって言っておいて、それと、これ渡しておいて」



そう言って千鶴が咲に渡したのはべっ甲飴。



「了解。気をつけてね。」



「うん、また学校でね。ばいばい」



小走りで、千鶴は帰って行った。



「で、平助はどうするの…?」



「…俺も行く。」



「そう…。」





会話の少ない中、2人で沙織の家に向かった。



「そういえばさ、沙織の好きな屋台、りんご飴じゃない、っていったよな?どういうことだ?」



「あー、あの子の一番好きな屋台金魚すくいよ。絶対。これだけは補償できるわ」




「…!!!」


絶対、あの2年前会った彼女は沙織だ。だけど、



「なぁんで嘘なんかついたのかしらね。」



そうだ、何で嘘なんかついたんだ?どうして…、



そんなことを考えていると咲の携帯が鳴った。




「…はい。…うん。…えー、だって今から沙織の家…、わかった、分かったよ。はい…うん。…じゃあね」



電話を切った咲の表情は凄くどんよりしていて。



「どうした?」



「…親から。今すぐ帰ってきなさい、だってさ。」



「え、じゃあ、俺も…。」



「ううん。平助は沙織の家行きなさいよ。きっとさびしがってるだろうし。」



「けど、俺沙織の家行ったことねぇし。」



「大丈夫。あのこの家、友達、近所、親戚だったら誰でも許可なしで入ってOKだから」



いや。そういうことを言ってるんじゃなくて。



「家の前までは言ってあげるから、頑張って。」





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