夢
□金魚すくいと君との約束
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「……やっぱり、沙織だったんだ」
「…あたしも、なんとなーく平助じゃないかな、って思ってたよ。」
「…ねぇ、もう一回、俺のわがまま聞いてくんねぇ?」
少し困ったように笑うかれに、「いいよ、」と笑顔で返した。
「…来年の夏、また勝負しようぜ?」
まっすぐあたしの眼を見て笑顔で言う平助。
「もちろん!」
かすかに聞こえる、太鼓と笛の音。
―--
「よーし!3年ぶりの勝負だ!!」
「ぜったい負けないから!」
2年ぶりの再会を果たした次の年、あたし達は約束通り隣町のお祭りで金魚すくいの勝負を。
「なぁ、今回負けた方は、勝った方の言うことを聞く、ってどうだ?」
「……いいよ。勝つのはあたしだから、泣くことになるのは平助だよ。」
「なぁに言ってんだよ、勝つのは俺。」
3年前をは違ってなんかすっきりとした気分で戦える。絶対かってやるんだから!
…というあたしの願いは惜しくも叶わず、あたしは54匹、彼は56匹、と2匹の差を付けられ負けてしまった。
「勝ったぁ!!ざまぁみやがれ!!」
「うるさいな!!!!で、何よ願いってさっさと言いなさいよ!!100万くれとか現実離れしたものは無理だから。すぐかなえられるものなんでしょうね。」
「あぁ、すぐ。ほんの一瞬で。」
「で、何?」
俺と付き合って。
(その願いを叶えるのは本当に一瞬で。)
(首を縦に振る。おしまい。)
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べたー。
勢いだけで始めた中編。
最後まで無事に終わって良かった。
ありがとうございました!