金魚すくいと君との約束
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あ、そっか…。あたし平助に一番好きな屋台りんご飴って嘘ついちゃってるんだった。なんか凄い申し訳ない…。


「……で、俺からはもう一つ。ほら。」


「あ、…」


後ろに隠していた右手を前にだして、その手には…、


「…金魚だ。」


金魚すくいでとってきたのだろう手のひらくらいの大きさのビニールに入った2匹の金魚。


「ありがとう!」


嬉しいな。調度金魚に会いたいと思っていた時期。


「……金魚すきなのか?」


「…え、あ、別に…、そういうわけじゃないけど…。それより、この金魚平助が捕ったの?」


「…うん。本当は52匹捕ったんだけど、さすがに52匹は駄目で、3匹もらってきた。」


「ご、52匹…。平助って金魚すくい得意なの?」


「……まあね。」



……やっぱり、2年前の彼は…。



「……あたしも、好きだよ。金魚すくい。」


「…屋台で一番?」



「!………うん。」



バレた。…大方咲が言っちゃったパターンだろう。



「…ごめん。嘘ついて。」


「いや、…俺も、嘘ついてたから……。」


「え、」


「俺、カキ氷も好きだけどよ、やっぱり金魚すくいがいっち番好き!」



ドクンッ


“好き”


別に、その単語はあたしに向けられて言われたわけじゃないのに、その単語を聞くだけで、あたしの胸は激しく波打った。



「…俺な、2年前、名前も年齢も知らない女の子と隣町のお祭りで金魚すくいの勝負したんだ。」



やっぱり。



「…うん。」


「……で、結果は同点で、俺から、また来年勝負しよう、って言った。」


「…うん。」


「でも、俺は行かなかった。」


「……うん。」


「…ごめん。約束破って。」


「……うん。」



すると、平助はベットに座って、あたしと目を合わせた。それだけで、あたしの心拍数はぐんとあがる。





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