夢
□青色と赤色のカキ氷
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「あ〜、日直とかついてないなぁ。」
次の日、あたしは日直だったから、いつもより早く来ていた。
いつもの時間より時間帯が早いせいか、あまり人がいなくて、よく風が通る感じでちょっと気持ちがいい。
たまには早く来るのもいいかもな、と思った時、
「あ、あのー!!」
聞き覚えのある声がした。後ろを振り向けば昨日の女の子、千鶴ちゃんがこっちに向かって走ってきていた。その後ろには様子をうかがいながらのん気に歩くよく一緒にいる男の子の姿。
「あ、あたし…?」
「はい!…あ、腫れは引いたみたいですね…。良かった…。」
まだそんなことを気にしてくれていたのか。めちゃくちゃいい子だな。安心したようにほっと胸を下した千鶴ちゃんはかなりの美少女だ。
「そ、それで、昨日のお詫びに…、」
そこで言葉が途切れ鞄の中をゴソゴソとあさり始めた。
「…?」
「これ、焼いてきたんです。良かったら食べてください。」
彼女が鞄の中から出してきたのはかわいくラッピングされたクッキー。
「…」
「え、あ、その…食べたくなかったら捨てていいんで…えっと…」
無言のあたしをみて彼女はあたふたと焦り始めた。
「あ、いや、そういう意味じゃなくて、あたし甘いもの大好きだから嬉しくて。わざわざありがとう。」
「いえ!」
元の笑顔に戻った彼女からクッキーを受け取ったと同時に、
「あー!!ずりー!俺の分は!?」
という元気な声が聞こえた。
千鶴ちゃんの隣に立つ彼は一緒に来ていた彼だ。自分はもらっていない、とちょっと拗ねた様子。
「ふふ。平助君の分もちゃんとあるよ。」
ふわっとした笑顔を彼に向けたあと、あたしと同じラッピング袋に入ったクッキーをあげた。
「あッ、そういえば自己紹介まだでしたね。私の名前は雪村千鶴です。よろしくおねがいします」
「あたしは日向沙織。沙織って呼んでね。よろしく。それと、同い年なんだから敬語なんてやめよ?」
「うん。よろしくね、沙織ちゃん」
「よろしく、千鶴」
「俺、藤堂平助!よろしくな、沙織。俺のことも名前で呼んでくれよな。」
まさか彼まで自己紹介をするとは思ってなくて少しビックリ。
「う、うん。よろしく、平助。」
桃色と青リンゴ色
カキ氷と出会った
今日この日
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千鶴のイメージカラーはピンク色、ってすぐ決まったけど、平助君のイメージカラーがすぐに浮かばなくって困った。緑のような気もしたけど、青のような…、ってことで青リンゴです(笑