夜空の翼
□苦悩の末に(第8話)
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クーデター計画、当日。
エマルは朝から複雑な気持ちだった。
こうなることは、五日前から分かっていたはずだ。
しかし、やはりいざ本番となると心の片隅に罪悪感が残る。
そんなエマルの様子を見かねてか、スクアーロはエマルの肩を力強く叩いた。
「いたっ!何すんだよ、スクアーロ!!」
「甘い考えは捨てろぉ!てめえは今まで何のためにここに来た?ザンザスの為だろうがぁ!」
ーザンザスの、為。エマルの頭の中でその言葉が何度も復唱される。
そうだ、今まで自分はこのためにヴァリアーで任務をこなしてきたのだ。
我等がボスを正式にボンゴレ十代目にするためにー、
「そっか、そうだったよな……。」
今まで忘れていた。
ザンザスに誓いを立てたことを。ーそして、守ると決めたことを。
エマルはギュッと拳を握りしめると大声で叫んだ。
「オレは、ヴァリアーのエマルだぁっ!!!」
その様子を見てスクアーロはふっと笑いをこぼす。
周りの一同も、心強い眼差しでエマルを見守る。
すると、見慣れた黒いコートがエマルの目の前に現れた。
「カス共、準備はいいか。」
「老いぼれを引きずりおとし、オレが十代目になる。」
ークーデター計画、開始ー