夜空の翼

□誓いは憎しみと共に(第7話)
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「な、何だよ、それ………。」



薄暗い会議室でエマルは目を見開いて立ち上がる。
あの事件から約二週間。なかなかザンザスと顔を合わせることができず、ずっと自室に籠もっていた。


「何だぁ、聞いてなかったのかエマル。」


スクアーロが書類を眺めながら先程言ったことを再度繰り返した。
内容は、


「ボンゴレ本部にクーデターって……!!」


九代目に引き取られてから間もなくしてザンザスはヴァリアーのボスという地位を築き上げた。
勿論エマルもザンザスについてきたのだが、流石にこれは予想外だ。
ボンゴレ本部にクーデターなんて仕掛けたら大問題になるに決まっている。
そして、エマルの頭の中ではもう一つ疑問があった。


「何で、そんなこと……?」


「てめえに、関係あんのか?」


すると、先程まで無言だったザンザスが口を開いた。
その目には拒絶の色を伺わせて。
脳裏に、この前の惨劇が蘇る。やはり、ザンザスは自分のことなどもう信じてはいないのだ。

目がじわりと熱くなる。オレ達の絆はどこに、いったのだろうー。


「日時は五日後だぁ。てめえらちゃんと準備しとけよぉ!!」


「それぐらい貴様に言われなくても分かっている!」


大声を張り上げたスクアーロにレヴィが負けじと反論する。
しかし、そんないつもの日常のさなか、エマルは暗い顔をしていた。


「あらぁどうしたの、エマルちゃん。元気ないわよ?」


ルッスーリアのその言葉にザンザス以外の視線が一斉にエマルへと集まる。
この前殴られた腹がまた痛み出す。しかし、エマルはそんなものも気にならなかった。
生気のない目で立ち上がると、ふらふらと会議室を出て行ってしまった。


「最近エマル、元気ないようだね。」


「確かに。エマルが元気ないと王子もやる気出ねえなー。」


最近のエマルの不可思議な行動を心配する一同。
しかし、エマルは気がつかなかった。
ザンザスが、軽く舌打ちをして切なそうに顔を歪めたことをー。
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