夜空の翼
□甘い気持ちに肩を寄せて(第9話)
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「何してんだ、カス鮫。」
リビング。
ザンザスはポーカーをしていたスクアーロに半ば八つ当たり気味に近くにあった花瓶を投げつけた。
「っ、う゛お゛ぉい、何しやが…………、!?」
まるで獰猛な鮫のごとく怒りに肩をふるわせながら後ろを振り向けば。
「ザンザスかぁ………!?」
8年間、ずっと待ち続けていた男。
自分の左手を失ってまでもついていくと決めた男が、そこには立っていたー。
「ボスが帰ってきたって!?」
その会話を偶然聞きつけたベルが驚いた様子で声を張り上げる。
王子の彼には珍しい、とても動揺した様子で。
「まぁ、ボス!8年ぶりね〜!」
「ボス、お待ちしていました……!」
「ムム、やっとこの時が来たね。」
我らが主の帰りに思わずみんなは歓喜の声をあげる。
すると、スクアーロがハッと気がついたらしく、
「う゛お゛ぉい、エマルは……!」
「………部屋で寝てやがる。」
ホッとしたように胸をなで下ろすスクアーロ。
結局、エマルも涙を堪えきれなくなり、ザンザスの胸を借りながら声を押し殺して泣いてしまった。
久しぶりー、いや、ずっと会いたかった大切な人と再開することができたのだから。
それは当然の行動と言えよう。