夜空の翼

□甘い気持ちに肩を寄せて(第9話)
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「う、ん…………。」


まどろみの中、視界がぼやける。
ああ、オレは眠ってしまっていたのか。
エマルは体を起こし、周り見回すと驚愕した。


「オレ、いつの間にザンザスの部屋で寝てたんだ?」


視界に入るのは、8年前と何も変わらない我らが主の部屋。
自分が寝ぼけて来てしまったのだろうか。いや、そんなはずはない。
スクアーロも、ザンザスの部屋に入ることはないだろう。


「ハッ、やっと起きやがったか。」


瞬間、耳に響く懐かしく、心地良い声。
エマルは目を見開いた。
最初はついに幻聴が聞こえるまで……。と自嘲したものだが、違った。
だって、もう聞くことができないとすら思っていた彼が目の前にいるのだから、そう思うのも無理はないだろう。
しかし、現に彼はここにいる。そう思うとー。

目にどんどん涙が溜まっていく。しかし、エマルは涙をこぼさず、にっこりと微笑んで、


「おかえり。」


そう、言ったー。
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