夜空の翼

□誓いは憎しみと共に(第7話)
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ーバンッー


部屋にたどり着いたエマルはそのままベッドに倒れ込んだ。
軽く溜め息をついてボーッと考える。
五日後には予定していたクーデターが実施される。
成功も失敗もまずは置いといて、何故ザンザスがそんなことを言い始めたのか。
九代目に恨みがあるから?
しかし、ザンザスはああいう態度だが少なからずとも九代目のことは尊敬していたハズだ。


「何が、あったんだよザンザス……!」


ギュッとシーツを握りしめる。
すると、不意にドアがガチャッと開きエマルは飛び上がった。


「…………エマル。」


「ザン、ザス……。」


突如現れた人物にエマルは驚きを隠せない。
心臓がドク、ドクンと早く脈打つ。
ザンザスはドアに鍵をかけると、エマルを組み敷いた。


「あっ、………!」


恐怖感を感じ顔を青ざめさせれば、ザンザスはそのままボスンとエマルの肩に顔を埋めた。


「ザンザス……?」


「わりぃ……。」


ザンザスの謝罪にエマルは目を見開く。
謝罪などという言葉とは無縁そうなこの男が、自分に対して謝ったのだから。
しかし、そんなことを考えるより先にエマルの頬には涙が伝っていた。
嬉しい。それが率直な気持ちだった。


「もう、終わりかとっ、思った……!」


自分の肩にしがみついて泣くエマルの頭をザンザスはポンポンと優しく撫でた。
ザンザスも、あの瞬間から自分は嫌われたと思いこんでいた。
あれほど酷いことをしたのだ。嫌われて当然だろう。
しかし、エマルはまだ己のことを信じてくれていた。
そう考えたら、愛しく思わないハズがない。


「ザンザス。オレはー………っ!?」


優しく、壊れものを扱うかのようにそっと抱きしめられる。
エマルは訳が分からなかった。
しかし、ただ一つ分かることはこれからも、ずっと元の信頼を保ち続けることができること。
エマルはその安堵と安心感からザンザスの腕の中で眠りについたー。
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