夜空の翼

□変わりゆく世界(第4話)
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あれから、何時間が経ったのだろう。
オレ達は未だ車に身を任せている。
お互いの存在を確かめるように、ぎゅっと手を握り合いながらー。




果たして、本当にこれで良かったのだろうか。
ザンザスは車に揺られながらそんな事を思う。

あの時九代目はエマルを見て何か思った筈だ。
それは必然的に、エマルもマフィアの世界と何らかの関係があることになる。
しかし、もしそれでエマルに何かあったらー、

ザンザスはそこまで考えて笑いを零す。
自分がそんな事を考えるのはらしくない、とー。
エマルに出会ってから、自分の中の何かが変わった。
それは、向こうも同じ事だろう。

エマルはいつも無邪気な笑顔で自分に接してくれた。
自分も、不思議とそれを嫌とは思えなかった。
つまり、それはー……、


「さあ、着いたよ。」


九代目に言われ、車から降りる。
とにかく、考えるのは後からでいい。自分が今すべき事は、もっと他の事なのだからー。







ー広い。
何だ、この異常な程の広さは。
エマルはほとほと呆れ返る。
先程ボンゴレ本部につき、それぞれ自分の部屋に案内された。
そこまではいいのだ。しかしー、


(おいおい、マジかよ……。)


視線の先には、自分が住んでいた家よりも何百倍もでかい部屋。

マフィアとだけあって、自分と違う世界に住んでいる事ぐらいは百も承知だ。
しかし、これは異常である。

こんな何十人も住めそうな部屋に一人で住めというのか。
まだ五才のエマルにとっては到底無理な話だ。
ただでさえエマルは怖い物が苦手で、何かあるとすぐおばさんやおじさんの部屋に駆け込んでいた。
しかも、これほどの部屋となると真夜中の恐怖は計り知れないだろう。
思わずエマルは苦笑いを浮かべた。
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