お題2

□八つ当たり
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わがままを言えるなら、おれはこのまま君の首筋へと手のひらを這わせたい。

俺以外のことを考えそれだけの為に尽力する姿なんて見たくない。

俺以外の瞳の中に映り込んで愛でられる姿なんて許さない。

あぁ、本当に上げだしたらキリがない。


無防備な君

愛くるしい君

ふてぶてしい君

綺麗な君


ねぇ

君は俺を風のようだと笑うけど

俺は君の方こそ風のようだと思うんだ


だってそうだろう?

けして俺の隣には留まってくれないじゃないか


だったらその綺麗な首筋を引っ掻いて呼吸を止めてしまえばいいじゃないかって思ったんだ

一生動かないようにして俺だけのものにしてしまえばいいじゃないかって思ったんだ

我ながら名案だと思う

「く…っぅ゙…はッ、け…じ…!」

「なぁに政宗」

「な、にッ…して…!!」

「政宗を殺して俺だけの人形にしようと思って」

ニコリと微笑めば驚愕に目が見開かれる

あぁ

そんな顔も可愛くて大好きだよ

でも

あともうちょっとで見れなくなるのか

俺を、映さなく、なるのか…

あぁ、違うちがうチガウ

政宗は俺だけを考えて死ぬんだ

一生の最後を俺で埋め尽くして死ぬんだ

あぁほら、なんて幸せなんだろう!!

俺は幸せな人間じゃないか

こんな乱世の中、愛する人を自分の手で殺せるなんてこと絶対にできない

グッとさらに指に力を込める

抵抗を見せると思っていたのだが予想外にも抵抗はない



ただ

幸せそうに君の表情はゆがんで

俺のしかいはぼやけて

ウゴカナクナッテイク君ヲ

オレハオイカケルコトシカ

で来ナカッタ






本当は

俺なんか二の次なんじゃないかって

八つ当たりしたかっただけなんだ






-END-

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