お題2
□年下の男の子
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「ねぇまさむねー」
「Ah?」
「外に出れないねぇ…」
情けなく眉尻を下げて言う佐助にちらりと視線を送って直ぐに窓の外へと顔を向けた。
ガラス一枚を隔てた向こう側では電線が面白いくらいにうねうねと弛んでいて、風の強さが分かる。
「Hum…台風が来てんだから仕方ねぇだろ?」
「そうなんだけどぉ…」
そう言ったきりくてんと机に頬をくっつけて黙り込んでしまった。
「何をそんな気落ちしてんだよ?」
なぜそこまで佐助がダメージを受けてるのか分からない政宗はハテナマークを頭の上に浮かべて佐助を覗きこんだ。
「だって、折角のお休みなのに…政宗と遊びに行く約束してたのにぃ…!」
そこで漸く落ち込んでる理由が分かった。
社会人である俺と、まだ学生の佐助ではなかなか休みが合わない。
それこそ夜寝る時だけ一緒(しかも疲れすぎて佐助が襲ってきてもガン無視で寝てる)なんてこともざらにあって、すれ違い気味になっていた。
それを改善しようというわけで、佐助の講義がないという水曜日に政宗が有給をとってどこかへ行こうということになっていたのだ。
しかしこの荒れる天候の中外へと出るのは命懸けだと思う。
「我慢しろよ。この暴風なか外でて、死んじまったら元も子もねぇだろ。」
「そうだよ、そうなんだけど!!!」
今にも泣きそうな顔して(いや、もう実際ちょっと泣いてる)縋ってくる恋人がどうも不憫に見えてきてしまった。こういうところは何分相手が年下ということもあってどうも甘くなってしまうようだ。
ちょっとくらいなら我が儘聞いてやってもいいか。
そんな年上の優越感が起こってしまった。それがのちに大いに後悔する羽目となる。
「仕方ねぇな…できることならしてやるからよ、そう気落ちすんなよ、な?」
「ホント?」
ギラリと佐助の瞳が光った。
あれ?この目、どっかで見たことあるんじゃ…?
ひくりと頬が引きつったがもう既に後の祭りだった。
「じゃあ今日一日付き合ってね♡」
瞬間移動したんじゃないかっていう速さで目の前に迫った佐助にちゃっかり両手首を掴まれてその場に組み敷かれた。
自分でも分かるくらいに体中から血の気が引いて行く。
「Wait!まだあさ…っひゃん…!」
「政宗御開帳ーvV」
「死ねっマセガキ!!」
結局、政宗が解放されたのは外の夕闇が静けさを取り戻した頃だったという。
―おわれ―