お題2

□王様の命令
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なんて理不尽なんだって、俺様は常々思うわけ。

だって、口を開けば文句か我が儘しか言わないし、ちょっと俺がへマすれば烈火のごとく怒り狂うんだもん。

もう呆れて声も出ないというかなんというか。

今現在だって、我が儘な恋人にこき使われて体育館で文化祭の看板を調節してたりする。

俺に自由をくださ―――い!!
って心の中で叫んだ瞬間、周りから飛んできた切羽詰まった声。

「危ない!!」

「へ?」

何事かと視線を映そうとした直後、目の前が陰り、続いて訪れた激痛。

ふわりと体が浮くような感じがして、気付いた時には体育館の床とこんにちはしてた。
なんだか妙に意識が分散されて意識がだんだん遠くなっていく。

なんとなく死んじゃうのかなぁなんてドラマチックな事を考えてたら、切羽詰まった声で俺の名前を呼んで、意識の薄くなった俺の手を必死に握ってどこか涙声の君が話しかける。

「俺を置いて、先に死ぬなよ…」

「一人にしないでくれ…」

ぽたりと手の甲に落ちたのは、きっと彼の貴重な涙だったんだと思う。

大げさだなぁって、大丈夫だよって言ってあげたかったけど、意識とは反比例して体はピクリとさえ動いてはくれなかった。

俺が眼を覚ました時のあの子の眼は真っ赤に腫れていて、いつもは切れ長で涼しげな目元がぼったりと重たそうになっていた。

しきりに鼻をすする音からして、あぁ、泣いてるんだ。って、俺様、愛されてるんじゃん。って、なんか嬉しくなっちゃって思わず笑っちゃったもん。

勿論、何笑ってんだっ!て怒られちゃったけど。

それでも、俺は幸せ者なんだと実感したんだ。

いつもは理不尽で横暴な命令ばっかりな可愛くない恋人だけど、今回の素直で可愛い命令なら一生聞いてあげてもいいかな、なんて思った俺様でした。





-END-

なんやかんや文句言いながらも、政宗が可愛くてしょうがないさっけさん(^^)

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