お題2
□身長差
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昔はあんなに小さかったのに。
なんだか無性に寂しくなって眉尻を下げた。
俺より4つ年下のあの子はいつも俺の後ろにくっついてきては舌っ足らずで名前読んでたっけ。
「あの頃は可愛かったのになぁ〜」
昔を思い出しながらため息をついたら、俺の膝と膝の間に我が物顔で座り込んでいた13年後のあの子、政宗に綺麗な切れ長の瞳でジロリと睨みつけられた。
「悪かったな、今は可愛くなくて」
「ほんとにね〜今ではもうすっかり美人さんなんだもん。俺様毎日ヒヤヒヤしてるんだからね!」
「そうかい。てか、男に可愛いだ美人だ言ってんじゃねぇよ。気持ち悪ぃ」
語尾も荒く吐き捨てられた言葉に苦笑を漏らすしかない。
「で、今いる俺を放っておいて過去の俺に思いを馳せるたぁどういう了見だ」
あらいやだこの子ったら!!
過去の自分にまで嫉妬しちゃって…!!
「Hey猿。余計なこと考えてねぇでさっさとquestionに答えな」
「政宗エスパー!?!?」
「全部顔にでてんだよバカ!!」
ペチンとほっぺたを叩かれた。
地味に痛い…
「昔の政宗はこーんなにちっちゃかったのになぁ〜って」
叩かれた頬をさすりながら空いた方の手でこれくらい、と高さを示す。
「今じゃあ俺と殆ど一緒なんだもん。なんか寂しくなっちゃった。」
つい数分前までと同じように眉尻を下げて笑えば、それとは対照的に意地の悪い笑みを浮かべた政宗が、クルリと体の向きを変えて俺の胸に手をつく。
「俺のことほおっておいて、そんなこと考えてたの?さっけにぃ?」
「!?!?」
上目使いに見上げて昔のように舌っ足らずで言葉が紡がれ驚きに目を白黒させた。
昔はただただ可愛くて仕方がなかったその行動も、成長した今ではムンムンと色気が溢れ出すばかりで、ゴクリと喉が鳴る。
「クク…何硬くしてんだよ、変態」
そう詰りながらも、悪戯が成功した時の子どもみたいな顔をするもんだからゆるゆるの筋肉がさらに緩んだ。
「仕方ないでしょーが!こんな可愛いことするまーくんが悪いの!!」
バタンとそのまま床に押し倒して悪ふざけに便乗すれば、未だにクスクスと笑って懐かしい、と目を細めた。
「ま、身長差があるときよりもこっちのが断然良いだろ?」
そう言ってまた意地悪く笑う。
ちょっと!
いつからこの子こんなに足癖悪くなったの!!
膝が…膝がぁ!!
「政宗…っ」
「クク…来いよ、darling?」
相当たちの悪いお強請りの仕方だが政宗なら仕方あるまい。
「誘ったのはそっちだからね!」
「Okay.熱くさせてくれよ?」
するりと首に腕が回るのと同時に甘く柔らかい唇を堪能した。
縮んだ二人の差
身長差がなくなってしまった分、二人の距離も縮まりました!!
-END-