短編

□11月22日
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「Hey,darling!Wake up!」

「ぬ〜…まだ寝かせて下され〜」

「Oh,可愛い可愛いwifeとの約束を破るってのか。いつからそんな良いご身分になったんだ、あぁ?」

「も、申し訳ござらん!!すぐに起きますゆえ!!」

「最初っからそうしてりゃいいんだよ。You see?」

「あいしー、でござる!」

「okey,わかったんならさっさと顔洗ってきな。」

「承知!」

そう言うや否や布団から飛び起きて洗面所へと駆けて行く。

「まったく…」

ひとつワザとらしく溜息をついて、満更でもない様子でゆっくりと幸村が走って行った廊下を歩いて行った。



幸村が準備し終わるまでリビングのソファーで待つことにした。

今日の予定は久しぶりの屋外デートだ。

最近めっきり室内デートばかりになっていたので折角だからこの機会に外へ出ようと言うことになったのだ。

「お待たせいたしました。」

「ん。じゃあ行くか。」

「はい!」




「Oh…こりゃあ見事だ」

「誠に…」

2人が見上げた先にあったものは綺麗にイルミネーションに彩られたクリスマスツリーだった。

赤や青、黄、緑と様々な彩りに照らされて華やかに光るツリー。

「来てよかった…」

ぽつり、と小さく政宗は零した。

「本当に…」

聞き洩らすことなくその言葉を拾った幸村が相槌を打って、繋いだ手をぎゅっと握った。

「政宗殿」

「うん?」

「お慕いしております。」

「な、急に、なに…」

「これからも、俺と共に居てくだされ。」

「…嫌だって言ったら…?」

「何を…」

ふっと笑って見上げていた視線を政宗へと移す。

それにつられるように政宗も視線を下げ、幸村へと移動させた。

映った幸村の顔はとても綺麗に微笑んでいて。
顔中に熱が集まるのがわかった。

「俺が、政宗殿を手放すとでも?」

「…結局、俺に拒否権はねぇんじゃねぇか…」

「嫌なので?」

「…んなことは、ない…」

「それならようござった。」

クスリと笑う声が間近で聞こえた。

近くに幸村の顔があるのだと認識する前に柔らかい感触が唇に触れていて。


(あぁ、なんて甘い…)


今日ぐらいは素直になろうか。ふとそんな考えが浮かんで。


「I love you…」
「愛しております。」


甘い言の葉が重なりあったのだった。



-END-
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