短編
□11月22日
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「やっぱ特別な日って特別な人と一緒に居たいじゃん?」
慶次が言ったそんな何気ない一言が発端だった。
「は?今日ってなんかあったか?」
「もー!政宗ったら忘れちまったのかい?今日は恋の日だよ!」
「恋だぁ?Valentineにはまだ早すぎるぞ?」
とうとう頭までイカれちまったか。そう辛辣に暴言を吐いてくる政宗をスルーして慶次は続ける。
「今日はいい夫婦の日じゃんか!」
「Good couple?…Ah−、11月22日でいい夫婦、か。」
「そう!」
「それがどうしたんだよ?」
「もー、政宗は鈍いなぁ…」
「Hey.俺はあんまし気が長いほうじゃねぇぜ?さっさと喋れ」
「だから!折角なんだから夫婦水入らずでゆっくりしようよ!」
「ちょっと待て。いつから俺はアンタと夫婦になった?」
「えっ!?違うの!?」
「違うわ、阿呆!」
「えー!じゃあ俺の奥さんになってよ!」
「No!」
「なんで!?」
「そんな軽いproposeなんざ御断りだ!」
そう言い捨ててふぃ、と顔をそらした政宗に慶次はあぁそうか、と一人頷いて政宗の顔をそっとこちらへと向かせた。
「政宗」
「な、んだよ…」
「俺、政宗が居ないとホントに無理なんだ。だからさ、俺の奥さんになってよ。来年も再来年も、ずっとずーっと!何回だって一緒にこの日を過ごしてよ。」
「…俺、男だぜ?」
「そんなこと関係ないよ。俺は政宗だから一緒になりたいんだ。」
「口だって悪いし」
「そこも大好き」
「っ、右目ねぇし…っ」
「政宗は右目がなくったって他の誰よりも輝いてるよ。その左目は何よりも強い光を宿してるし、その右目だって、政宗が今まで生きてきた証が記されてる。何もかも、全部が大好きだよ。」
「…恥ずかしくねぇのか…?」
「〜っ、めちゃくちゃ恥ずかしいよ!!」
「クク…」
「笑うなよぉ…」
「sorry.We will receive the proposal. 」
「…へ?」
「クク…間抜け面してんなよ。俺のdarlingなんだろ?」
「!!もちろん!」
仲良く寄り添う2人。
それをやわらかい橙が2人を照らしていた。
-END-