小咄


突破文をちらほらと。
◆チカ梵 


「ちかのうそつき」

「梵…」

「ずっといっしょっていったのに…!」

「悪ぃ。でもよ、すぐに帰ってくっからよ?」

大きな瞳に涙をためて、小さな手のひらで必死に俺の服を掴む梵。あやすように頭を撫でつけながら待っててくれと言えばキッと睨みつけられた。

「うそだ!そういってこじゅもしげもかえってこなかったもん!すぐにかえってくるってゆびきりしたのに…っ」

「梵…」

「おいていかないで…っ」

泣きじゃくる梵天丸を力いっぱいに抱きしめて、それはできねぇよ。と情けないぐらいかすれた声で呟いた。



だって、お前はまだ何もしらねぇんだ

澄み渡った広い空やキラキラ光る大海原。慕ってくれる奴らのありがたみや故郷の温かさ。

どれもこれも、知らずにあの世に行くのは勿体なさ過ぎるんだ。
だから俺は

お前を連れていかねぇし置いてもいかねぇからよ

俺がちゃんと見せてやるから、教えてやるから

「約束は守るぜ」

柔らかい髪に顔をうずめて

約束、と囁いて額に口付けた


-END-



この後ちゃんとチカが帰ってきて二人で世界中を巡ればいいと思う

2011/08/27(Sat) 08:01

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