短編

□無音 ※
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何も聞こえない
何も聞かない

ただ唯一耳に届くのは、愛しい人の痺れるような甘い声だけ…













「ぁっ…はぁ…あァッ」

「ふーん。政宗はこうされるのが好きなんだ?」

「ヤ…っ違っ…!!」

くちゅくちゅと淫猥な音が薄暗い部屋に響く。
クイッと孔内で指を曲げれば、より甘く甲高い声が発せられ白く艶めかしい背中が弓なりに反らされた。

「何が違うの?政宗のココはもうこんなになってるよ?」

ほら…、とワザと見せつけるようにしながら少し乱暴にナカを掻き回す。

「あぁっ…!!ヤ、だ…っ!もう止め…っ」

いやいやと駄々をこねるように頭を振る。けれどその度に艶やかな黒髪が揺れて、尚更体内の欲を煽られた。






じわり、じわりと黒い感情が胸を覆い隠していく。






ああ…自分は一体どこで間違ったのだろうか…?
いつからこんなにも狂ってしまったのだろうか?
どこか冷静に自らを客観視する自分がいて、余計に可笑しくなった。




『…すけ…』




ふと、どこか遠くに懐かしい人の優しい笑い声が聞こえたような気がした。

あの馬鹿がつくほど正直で、真っ直ぐだった主であった人の声が…





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