短編

□猫変化
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雲一つない晴天。
ここ奥州筆頭伊達政宗の居城青葉城にバタバタと足音が響いた。

「政宗殿っ!」
「にゃあっ!?」
「……にゃあ…?」

障子がスバーンッと開け放たれ嬉々として部屋に入ってきた幸村は聞こえてきた鳴き声にキョトンと首を傾げた。
そして目の前に座り込んでいる恋人ー政宗の姿を見て目を見張った。

「ま、政…む、ね…殿…?」
「な、何だよ…」

びくんっと一つ大きく肩を震わせた政宗をしげしげと見つめた。

黒く毛並みの良い耳が2つ。
同じように黒い尻尾がふるふると振られている。
それはどこからどうみても黒猫としか言いようがない。

「…まさか、政宗殿にこのようなご趣味があられたとは…」
某、存じませんでした…

とひとりごちる幸村に対し、

「あるわけねぇだろっ!」

と顔を真っ赤にして政宗が怒鳴った。

「朝起きたらこうなってたんだよ!」

フシャーッ!!とまるで本当の猫のように毛を逆立てて反論する。
そんな姿を少しでも可愛いと思ってしまう。

「しかし…」
「Ah?」
「本当に柔らかい毛並みですな」
「なっ!?」

あきらかに不機嫌になってしまった政宗に笑いかけ、くしゃくしゃと頭を撫でる。
ついでに耳も触ってみる。

「なっ馬鹿っ!やめろっ…にゃう…」




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