短編

□逃避行
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貴方が一緒にと言うならば、
俺は喜んでその手をとりましょう。

だから
どうか泣かないで
どうか独りで逝かないで
どうか、どうかー…


俺を独りにしないでー…



――――――――――――

「政宗殿!」

煩いぐらい病室に響く声。

また、煩いと怒られてしまうだろうか?
けれど怒った政宗殿を見るのもいいかもしれない。

などと、本人に言えばそれこそ鉄拳の一つでも飛んできそうな事を考えていると、案の定

あれほどボリュームを下げろって言ったのに…

と、苦笑しながら呟いた。


可愛い


不謹慎にもそんなことを思ってしまった己を叱咤して、小さく謝罪の言葉を出した。

「体調の方はどうですか?」

「ん…、今日は割といい方なんだ。」

「それはようござった。」

穏やかに笑って言う政宗に、にっこりと笑い返した。





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