異能力症候群
□プロローグ
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【とある村のお話】
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夏のある日のことでした。
それは本当によく晴れた、とても穏やかな日でした。
そんな、雲一つない穏やかな空から、突然真っ黒な〈雷〉が落ちて来ました。
その〈雷〉は、ある小さな村へと真っ直ぐ落ちて、村を焼き尽くしてしまいました。
三百人いた村人たちは、一人の少女を残して、みんなみんな死んでしまったのです。
たった一人残された少女は、ショックで目が見えなくなってしまいました。
そして毎晩毎晩、保護された施設の中で、何も見えない目から涙を流し、呟いていました。
――『わたしが、やったんだ…』――
焼けた村の存在は、徐々に皆から忘れ去られていきました。
当然、少女のことも。
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説話集『とある村のお話』より抜粋
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