TENDER LOVEU

□Chapter 38 -side.you-
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 今日の天気がどんなふうだったのか。
 知ることのない日は。

 ずっと、家で。
 うずくまっていた日。

 おなか、すいたな。
 ノドも、かわいた。

 心が、悲しいな。

 私はもう一度、抱えた膝に額を当てる。

 テミンがもう来ることのない部屋は。
 明るい笑顔も、爽やかな空気も消えて。

 べとつく、寂しさ。
 ため息が、湿度を上げてしまいそうな。

 気付くと、夜も更けて。

 私の心を強く占める、蒼い銀色の月光。
 カーテンの隙間から私を嘲笑う。

 そして、その時がきて。

 私の体は一瞬、強張った。

 ・・・久しぶりに聞く、Love’s Way。

 心の中に。
 浮かぶのは。

 単純な喜びでも。
 淡い心変わりでもない。
 もっと、異種の感情。

 うなだれた首を、上げることも諦めて。
 俯いたまま、聴いていた。

 美しい音色。
 哀しいほどに。

 あなたへの愛の道が途絶えたら。
 私は全てを失っても足りないのに。

 なぜ。
 携帯をとれないんだろう。

 無機質な携帯から。
 テミンの歌声が聞こえる。

 私が、全てを見透かす様なあの瞳の為に。
 何をしてあげられたというのだろう。
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